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演劇は、人と人をつなぐ文化だ(2)

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石川県七尾市

■市民キャストが奮闘 感動を生んだ公演の舞台裏 志を共に舞台を高みへ
市民キャストが担うのは、村人や等伯の弟子といった役で、役者との掛け合いのセリフもあるため責任は重大だ。市民キャストの公演にかける思いは強く、県外からの参加者の中には、アルバイトをしながら地元の民家を借りて滞在する人もいた。
9月初旬から無名塾は東京で、市民キャストは七尾で稽古を始めた。無名塾の一同が合流すると、セリフの間合いや細かな所作など、稽古はより一層熱が入った。
無名塾からは「共志高峰」と書かれた絵馬が市民キャストに贈られた。共に素晴らしい舞台を作り上げようというエールに、受け取った市民キャストは意気に感じたことだろう。
公演が進むにつれて、市民キャストと無名塾の絆はさらに深まった。塾員が毎日あいさつに訪れるなど活発なコミュニケーションが行われ、日ごとに結束力が強くなっていった。
千秋楽の上演前には、無名塾の一同が市民キャストの楽屋を訪れ、最後の公演に向けて団結を深めた。最終日ということで、市民キャストには気負いが見られるかと思ったが、普段通りの様子で頼もしささえ感じた。
本番での演技も堂々たるもので、舞台上での顔付きや立ち振る舞いは役者そのもの。これまでの集大成となる芝居を大勢の演劇ファンに見せつけた。
大きな拍手が鳴り止まぬ中、無名塾と共に3度のカーテンコールを行った市民キャスト。その表情は、公演を最後まで成し遂げた充実感であふれていた。
これは、無名塾と築き上げてきた七尾の演劇文化だからこそ、味わうことができたのだろう。市民キャストの皆さんには、どうかこの文化を多くの人に伝えてほしい。

▽無名塾から市民キャストに贈られた絵馬
「共志高峰」無名塾と志を共に舞台の高みを目指す意味を込めた造語

■市民参加型の演劇をこれからも
山下珠美さん(七尾市)
演技を学んで市民劇団の活動に生かしたいと思い、挑戦しました。無名塾の皆さんと同じ舞台に立てたのは大きな喜びで、特別なことだと改めて実感しています。
県内外から集まった市民キャストの皆さんとは、アットホームな雰囲気で大きな家族のように過ごさせてもらいました。市民参加型の作品だからこそ、県外からでも参加しようという気持ちにつながるのではないでしょうか。これは七尾の演劇文化ならではだと思います。
この文化がここまで続いてきたのは、たくさんの人の支えがあったからだと思います。これからもこの文化を残していってほしいです。

■七尾の演劇文化を次の世代へ
勢登健雄さん(東京都)
高校生の時に、地元中島町の能登演劇堂で初めて見た無名塾の舞台に衝撃を受け、役者を志しました。無名塾の皆さんが培ってきた芝居の考え方を肌で感じることができ、とても勉強になりました。そして、お互い刺激をもらいながら演じることの面白さに気付く、とても価値のある時間だったと思います。お客さんの反応を感じながら、毎回違うものになることも舞台の醍醐味(だいごみ)です。
今回、中島中学校の皆さんが観劇してくれました。もっとたくさんの若い世代が演劇に興味を持ってほしいです。地元出身者として、演劇文化を次世代につなげていきたいです。

■関わった皆さんの優しさに感謝
山内凜さん(東京都)
昨年の「いのちぼうにふろう物語」がきっかけで役者を志し、今回をまたとないチャンスだと思い、応募しました。
演技経験がなく不安や緊張の連続でしたが、他の市民キャストや無名塾の皆さんのおかげで気持ちがほぐれました。
稽古の開始に合わせ、中島町でアルバイトをしながら生活しました。町の人がとても優しくて、人と人との交流の温かさとありがたさを強く感じ、目の前の人を尊重する姿勢が、芝居でも日常でも大事だと思いました。
この公演で、常に人間を見つめる役者の仕事に、改めて魅力を感じました。今回のご縁を大切に、今後も精進していきたいです。

■多くの市民が公演を応援!
期間中、いしかわ百万石文化祭2023七尾の文化力発信協賛事業として、能登演劇堂内で、等伯PRコーナーや公演記念のお茶会(土・日限定)が開催され、多くの市民が公演を盛り上げました。

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