令和6年能登半島地震から1年が経過いたしました。
復旧・復興を止めることなく、全ての市民の皆さまが日常生活を取り戻し、幸せを感じられるよう、また、震災で傷ついたふるさと七尾を再生するために、引き続き市政運営にまい進してまいります。
■全国の自治体や災害支援ボランティアに感謝
震災では断水によりトイレやお風呂、洗濯などができず、普段何気なく使っている水のありがたさを感じる契機となりました。発災翌日から市役所や避難所へ全国から多くの食糧や支援物資が届き、ご支援をいただきました。また、避難所などでは、さまざまなボランティア団体などが炊き出しを行い、温かい食事を提供していただいたこともありがたく感じています。
一方、全国の自治体や事業者の方々には、寒い中、上下水道の復旧活動をしていただきました。ボランティアの方々からのご支援は、市民に元気や希望を与え、その活動は現在も続いています。多くの支援の力により、今日までの復旧に至っていることに感謝申し上げます。
■七災害支援ボランティアの宿泊拠点「テント村」の設置
認定NPO法人ピーク・エイド代表で登山家の野口健さんと全国7自治体(岡山県総社市、赤磐市、大阪府和泉市、東大阪市、神奈川県海老名市、鎌倉市、富山県南砺市)の力により、七尾城山野球場のグラウンドに開設された「テント村」には驚きました。このことにより、多くのボランティアの方々が長期間滞在できるようになりました。地域住民の方からは、ボランティアの皆さんへ温かい食事の炊き出しが行われるなど、支援の輪が広がりました。そうしたボランティアと地域住民との交流は、今後の災害復旧のモデルとなりました。関係者の皆さんに改めて感謝いたします。
■震災からの復旧・復興に向けて
今年取り組むべき最大の課題は震災からの復旧・復興です。その取り組みを今後さらに加速していく必要があります。解体班を増やすことで公費解体が進む一方で、空き地が多く見られるようになりました。仮設住宅やみなし仮設住宅での生活を余儀なくされている方も多く、そうした方々が1日も早く日常生活を取り戻すことが大切だと考えています。被災された家屋の修繕・再建の支援や、災害公営住宅の意向調査を実施し、必要な場所に必要な戸数を整備してまいります。
事業者の生業(なりわい)の再建は、過疎化が進む地域経済において重要な課題であるため、生業再建支援などで事業者が自力で再建できるよう各種支援策を提案してまいります。
■和倉温泉の復旧・復興
「和倉温泉の復興なくして能登の復興はない」との思いで震災対応にあたり、これまでに和倉温泉旅館協同組合に加盟する4旅館で一般客の受け入れが可能となりました。今後、事業再開する旅館も増えてくると思いますが、全ての旅館が事業再開に至るには数年かかると言われています。その間、和倉温泉の灯が消えないようさまざまな復興事業などを推進しながら観光誘客を行う必要があります。「わくら千年桜プロジェクト」や「能登よさこい祭り」などの事業を通して和倉温泉のにぎわいを継続していきます。
■関係人口拡大とつながり
震災支援を通じて、多くの方に全国から能登へ足を運んでいただいています。全国の自治体の皆さん、ボランティア団体の皆さん、支援をいただいたアーティストやスポーツ選手など、多くの方々に七尾市を知っていただき、つながりを持つことができました。このつながりをもとに、今年もさまざまなイベントや事業が開催される予定です。今後もこの関係を大切にしていきたいと思います。
■国際交流の進展
震災のニュースは国外にも発信され、国外からも多くのご支援をいただきました。
国際交流の活発化は、観光面でのインバウンド効果だけでなく、産業や経済、文化に七尾市へプラスの影響をもたらすことが期待できます。
今後は支援をいただいた国々をはじめ、多くの海外の国々との関係を強化してまいります。
■ピンチはチャンス
震災でさまざまな課題が浮き彫りとなりました。その課題を克服するためのアイデアや情報も企業や団体などから集まってきています。七尾市にとって何が必要か、何ができるかを検討した上で「七尾市戦略的復興プラン」をベースにした復興事業に取り組んでまいります。
全国の自治体職員やボランティアの方々、復旧のためのさまざまな事業者など今まで七尾市に所縁(ゆかり)のなかったたくさんの方々が災害支援をきっかけに当市を訪れています。七尾市という地名も「震災があった場所」として注目され、全国的に知られることとなりました。震災支援で訪れた方々には能登の豊かな自然や食、祭りや歴史文化を知っていただき、その魅力を感じていただく機会となりました。ピンチをチャンスに、震災をバネに七尾市が大きく飛躍することができると感じています。
■さらに持続可能な能登七尾の実現
能登で水揚げされた寒ブリ「煌(きらめき)」が初競りにかけられ、200万円で落札されたニュースが報道されました。地震により多くの建物が倒壊し被害を受けましたが、能登の自然やそこから育まれた食は息を吹き返しています。
今年3月には能登演劇堂で俳優の吉岡里帆さんと蓮佛美沙子さんがダブル主演する「まつとおね」、5月には仲代達矢さんと無名塾による「肝っ玉おっ母と子供たち」の公演が行われます。
七尾市の魅力を十分発揮し、人口減少をカバーできる関係人口、交流人口のさらなる拡大を図ることで、一歩一歩復興していきます。
さらに持続可能な能登七尾の実現を目指し、取り組んでまいります。
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