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自治体の皆さまへ

加賀市の教育が大きく変わります。子どもたちは自分でできる!

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石川県加賀市 クリエイティブ・コモンズ

■vol.6「任せる」「委ねる」授業スタイルが効果を発揮
みんなが一斉に同じことを「与えられる」授業から「自ら考え動く」授業づくりに取り組む2人の先生に、支援・助言をしている教育委員会の佐々木プロジェクトマネジャー(以下表示は佐)がインタビューしました。

◆錦城東小学校 辻啓太先生
▽始めたキッカケ
佐:新しい授業形態に取り組もうと思ったキッカケは何ですか。
辻:先進的な実践をしている、名古屋市立山吹小学校に視察に行ったことです。やりたい子はどんどんやる、時間をかけたい子はじっくりやる、という姿を見てなるほどと思いました。
佐:すごくわかります。
辻:その後、ちょっと試しに授業でやってみたら山吹小学校と同じ学びの姿が見られ、これはいいな、と思いました。授業後に子どもたちに聞くと、「自分でできた!」という喜びの声や「交流が増えてよかった!」という声が挙がりました。
佐:すぐに子どもたちから声が集まってきたんですね。
辻:そうなんです。嬉しかったです。

▽学びに向かうようになった
佐:手ごたえはいかがですか。
辻:これまで余りできなかった子が少しずつできるようになったという、底上げの効果ははっきりと感じています。単元テストの点数だけ見ると明らかに効果はあったと実感しています。
佐:話を伺う限り、意欲面の変化が大きいかなと感じますね。私自身も辻先生の授業を何度か拝見して、回を重ねるごとにより学びに向かう子どもたちの姿を感じますから。

▽子どもたちは自分でできる
辻:今までは先生がリードし、最後に答えを伝え、子どもが「そうか!」と思うのが良いと思っていました。でも、この学習を続けてみると、子どもたちって、私が思っている以上に、自分でやろう!という意欲をもっているのがわかりました。そして、困ったら自分で工夫したり、他の子どもに助けを求めたり、と、なんとかしようとする姿勢もあることに気づかされました。だから、この授業に取り組んだことによって、一斉指導が中心の授業でも、私の方から「これやるよ」「あれやるよ」と細かく指示を出すのではなく、子どもたち同士の時間をゆっくりとり、子どもたちに任せる、委ねる、という気持ちになれています。
佐:これまで積み上げてきた授業方法を手放すことに不安はありませんでしたか?
辻:これでダメだったら…という不安はありました。でも、子どもたちが何よりも楽しそうなんです。復習の時間にも良い影響があり、今までよりも明らかに、授業後の学びが続いているんです。
佐:子ども自身が、学びたいと思っているんですね。すごい!

※「辻」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。

◆東谷口小学校 中川美紗子先生
▽1人1台端末が学びに寄与
佐:早速ですが、授業を変えようと思ったキッカケは何ですか。
中:変えようとして変わっているというより、複式学級なので2学年を同時に見るときに、必然と子どもたちに委ねないといけないシーンが多くなってきて。
佐:自然な形でこれまでも進められてきたんですね。
中:そうですね。そして子どもたち一人ひとりにタブレットが配られてから、子どもたちはより集中して学びに向かえるようになったと感じます。
佐:端末は色んな機能がありますので、個別最適な学びには向いていますよね。

▽子どもに委ねる
中:最初は「詰まったら友達に聞いていいんだよ」という促しが必要でした。「わからない」と声を発することも最初はできないものです。
佐:「わからない」と言っていいんだよ、立ち歩いて他の人に相談してもいいんだよ、と子どもたちにわかってもらうには意外と時間がかかりますよね。学校にはルールなどで許されないことも多く、それがかえって子どもを委縮させてしまっているところがあって。
中:ダメ、ダメの嵐だと、逆に子どもができなくなるところもありますもんね。
佐:先生の授業観だと子どもはのびのびできる気がしますね。
中:複式学級を担当した経験から、「任せても大丈夫なんだ」という気持ちはそれなりにあった気がします。
佐:なるほど。その気持ちになるまで、先生って意外と苦労するんですよね。でも、子どもって、委ねても大丈夫なんです。
中:授業での口出しを抑えるようにしたら授業中に最後まで終わらなかった子どもがいたんです。でも、その子は給食中にずっと考えていたようで、食べ終わったら「わかった!」って言ってきたんです。えっ、今考えていたんだ!と。
佐:すごいですね!本当の意味で自立した学びになっていると思います。

▽授業が学校をよくする
佐:考えたり、試行錯誤したりする時間を子どもに十分与えていると感じました。
中:テストも一斉に始めて一斉に終わるのではなく、一人ひとり違っていいんです。できた子はテストを終えて、別の勉強をするようになって。
佐:自分が以前担当した子どももそうでした。予習を始めるとか。6年生の子では中学の勉強に入った子もいましたよ。
中:子どもって真面目で、先に終わった児童でも「こういう問題でたよ」なんて他の子に教えたりはしませんね。
佐:主体的な学びが身についた子どもは、ズルして正解を得ても、ほんとの力じゃないってわかっていますからね。
中:複式だと、学年をまたいで、上級生が勉強を教えてあげるというシーンも見られます。
佐:すごくいいですね。個別最適・協働的な学びでは子どもどうしの関係性を良好に保つのが核ですから。
中:授業が学校の他の活動にも良い影響を与えています。行事などで子どもたちにお願いすると、凄く主体的に動いてくれて。
佐:素敵ですね!一斉授業では学習意欲を出すのに限界を感じて、「自ら考え動く」授業スタイルを始めた先生が多くなっています。

辻先生、中川先生、貴重なお話をありがとうございました。

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