加賀市医療センター病院長北井です。医療における働き方改革は一筋縄ではいきません。日中の勤務時間内にすべての症状に対応できればいいのですが、日中に腹痛で入院した人が、夜間に呼吸困難になることもありえます。そのようなとき、以前は入院させた主治医が夜中に出勤し、呼吸困難に対処していました。そしてその先生は次の日、予定の腹部手術までこなしていました。眠い目をこすりながらです。へこたれそうになった私に、「外科医はスーパースターであれ」と、先輩が声をかけてくれましたが、よいパフォーマンスをするためには休養が不可欠です。乗客の命を守るパイロットも、勤務前には休養が義務付けられています。ましてや、直接刃物を使う医師の体調が万全でなければならない、というのも納得できます。患者さんも体力・気力があり、十分な知識を持つ医師が担当する方が安心だと思います。チーム医療が導入され、一人の主治医が治療過程すべてを担当することは少なくなりました。外科なら、同じ外科に所属している医師が休日の処置をするかもしれません。1人の医師だけでなく、沢山のチェックが入るという意味でも、チーム医療は合理的なシステムなのです。
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