加賀市医療センター病院長北井です。病院で使われる言葉について、続きです。病院の説明は言葉が難しい、わかりにくい、というお声を多くいただきます。もちろん、医師はわかりやすいように説明しているつもりです。ですが、医師の説明のうち、3割程度しか理解されていない、ということは良く知られた事実です。説明する側は、半分以上理解できただろうと思っていますが、このギャップがとても大きいのです。私はいつも紹介状持参の人に、「なんと言う病気でどんな薬をもらっていますか?」とお聞きしますが、10人いれば、半分が合格点、3割の人がぼんやりと理解、2割ぐらいの人は「(前)先生に任せてあるので」とほとんど理解されていないという状況です。これを嘆いているのではなくて、大体そんなものだろうと思います。私も自分の車が何気筒で、どんなサスペンションか、車検でなにを直したのか理解していないのですから。患者さんへの説明時には紙に書いて、漢字には振り仮名、絵を描いてここが病気というふうにしています。インターネットで病気の情報はすべて出ているので、ご自身の病気は関心を持って調べていただくのが今の時代でしょう。調べてもわからないことを患者さんと話し合う、そして他の医師とカンファレンス(4月号に説明)して、治療の適応(5月号)を考えましょうという姿勢で臨んでいます。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>