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地域医療最前線!公立河北中央病院赤ひげ通信

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石川県津幡町

■在宅医療のおはなし
河北中央病院内科 清水吉晃
今年4月に河北中央病院に赴任しました清水吉晃(しみずよしあき)と申します。専門である消化器疾患を中心に、北陸3県の医療に携わってまいりました。これまでの経験をもとに、少しでも津幡町の皆様の健康のお手伝いができればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今回は、「在宅医療」のテーマでお話させていただきます。近年、高齢化や疾病構造の変化に伴い、「病気を治す」のみではなく、「支える」医療の重要性が高まっています。医療の形態には、外来、入院、在宅、オンラインがあります。在宅医療は疾病、傷病のため通院による療養が困難な方を対象として、医療者側が患者宅や施設に訪問し診療を行う方法です。医師、看護師、介護士、リハビリテーション、ケアマネジャーなど多職種の方々が関わり、包括的な医療・ケアを提供します。国が在宅医療を推進している背景もあって患者数は年々増加しており、2025年には100万人を超え、2040年ごろには約130万人に達しピークを迎えると見込まれています。がん診療は在宅医療が果たす役割が大きい分野といえます。
がん治療は外科手術や化学療法などが一般的ですが、末期のがん患者さんや高齢の患者さんの場合、全身状態や本人の意思を踏まえて、緩和治療のみ行われることも多いです。この場合、人生の最終段階を本人らしく過ごせるようにいかに支えていくかが重要となります。2017年度の厚生労働省の調査によれば、回復の見込みのない末期がんと診断された場合に、一般国民の47.4%が自宅で医療・療養を受けることを希望し、このうち69.2%は自宅で最期を迎えたいと回答しました。しかしながら、大半の患者さんは病院で看取られている現実があります。多くの症例で、質の高い緩和治療により苦痛をコントロールしながら最期まで自宅で過ごすことが可能であり、そのギャップを埋められる余地があります。
在宅医療は地域間の格差も大きく、津幡地域においてはまだ十分に普及しているとは言いがたい現状です。地域の中核病院であり在宅療養支援病院でもある当院の役割として、今後より一層力を入れていきたいと考えております。外来、入院に加えて在宅医療まで当院で一貫して提供することで、患者・家族さんにとって安心感が生まれ、より幅の広い診療と療養の選択肢が生まれることになります。もし在宅医療に関心のある患者・家族さんがいらっしゃいましたら、いつでも当院までご相談ください。

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