■50年を超え時間を感じさせない普遍性~CTIを聴きつつ~
音楽メディアは50年前から変遷が激しい。SPレコードは前世代、私自身の音楽に興味が出たときにはオーディオセット、LP全盛、それからカセットテープとレコーダー出現、さらにCDで音質も飛躍的に進化、MDなども出た。今は携帯電話が進化し、スマホが音源になる。今は、パソコンにCD・DVDの再生装置とスピーカーを付けて聴いている。
さて、CD(アルバム)で目を引くのが特定のジャケットである。モダンアートに例えられる写真、字体、デザインは絵として壁に掛けられる。それが「CTI」というレーベルのものである。新しいイージー・リスニングのジャンルを確立したと言われるレーベル(シリーズ)である。レーベルとはアーティストを所属させ、CDを作る組織なので、CTIはプロデューサーのクリード・テイラーの組織した会社で、販売は別のレコード会社が担当する。もともとジャズ本流からスタートしたテイラーは、ボサノバの世界的な音楽性を見出した。その後に自身レーベルCTIから出したアルバムは1960年半ばからで、今に至るもまったく時間を感じさせない。上質感と聴きやすさ、聴き手自身に常にアップデートしてくれるためか新鮮だ。これを読んでいる方々もどこかで聴いたことがあるはずである。アーティスト主体での演奏と配列のアルバムづくりから転換、アーティストの特性は活かし、選曲、バックミュージシャンの選択、アレンジ、録音、編集そしてジャケット写真とデザインに至る総合芸術としてプロデューサーがまとめる。これまでにない方法でアーティストそのものも著名になり、名盤として今日に伝わる。聴き方にはさまざまで、例えばギターのウエス・モンゴメリー、ボサノバのアントニオ・カルロス・ジョビンでも、アレンジャーの違いでアルバムの曲調が違ってくる。さまざまなジャンルで活躍、作曲家であるクラウス・オガーマン、クラシカル、重厚感のドン・セベスキー、メリハリとポップなデオデートは、その後アーティストとしても活躍と違いが面白い。バックミュージシャンもハービー・ハンコック、ロン・カーター、アービー・グリーンなど名手を揃え抜かりない。さらに50年は聴き続けられると思う。
▽谷本亙(たにもとわたる)
津幡町潟端在住。まち and むら研究所代表。
伝統工芸品、日本酒、農産物及び加工品開発、観光調査等に関わる。
現在、各種事業支援活動を中心に、農企業の役員、医療関係のNPO法人などの役員を努めている。
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