■ひまわりで思うあれこれ
深夜に頭が冴えて眠れず、枕もとの目覚ましラジオのスイッチを入れると、何と懐かしい映画「ひまわり」のテーマ曲が流れてきた。昭和45(1970)年に伊・仏・ソ・米の合作で、第二次世界大戦終結後のイタリアで、出征したきり行方不明の夫の消息を求め訪ねまわる背景に、地平線にまで及ぶ画面一杯に咲き誇るひまわり畑が映し出された印象深い作品だ。主演の妻役に美しいソフィア・ローレン、夫役には渋い演技のマルチェロ・マストロヤンニ、そして「泣いてくれ」と言わんばかりの音楽が加わると悲恋物語の名作になる。平成24(2012)年3月、映画大好きの私は福井県まで出かけ、メトロ劇場(ミニシアター)で観た「ひまわり」はイタリア語版で、支配人は「珍しいだろう」と自慢していた。ロケ地となったひまわり畑は令和4(2022)年にロシアの侵攻を受け、現在も交戦中のウクライナの片田舎だという。
以前、新聞連載小説「ひまわり」は、事故で四肢麻痺となった主人公が一念発起して弁護士を目指す物語で、毎回、心の中で頑張れと叫びながらむさぼり読んだ。特異な題材と内容で、作家はリハビリの細やかな描写や弁護士を目指す上で必要な専門書も読み込み、体験もして書いたと知った。
津幡町の町花は「つつじ」だが、河北潟干拓地内には平成7(1995)年から夏の間、約35万本ものひまわりが咲き誇る「ひまわり村」が開村、眺めるだけではなく「迷路」を作り、親子連れで賑わっている。令和6年能登半島地震の際、液状化による道路の陥没、防潮水門や排水機場などが被災したが、今年も開村できてほっとしたと話していた。
ところで、昨年7月の豪雨、今年1月の能登半島地震、さらに9月の奥能登豪雨と石川県内、特に奥能登地域は甚大な被害と見通しが暗いまま、もうすぐ新年を迎える。
この「ひまわり」の花言葉で私が一番好きな「あなたを幸せにします」を被災された方々に送り、一日も早い復旧を心より祈念したい。
▽金田信市(かねだしんいち)
津幡町横浜在住。平成25年より津幡地区民生児童委員。同26年に「金沢城・兼六園研究会」の会員。同27年から町内の小学校などで紙芝居「禁酒物語」を上演する「禁酒の学校を語り継ぐ会」、令和4年4月「つばたふるさと探偵団」のメンバーにも。
大の映画ファンで、毎年約50本を映画館で鑑賞する。
■お知らせ
昭和56年1月号から掲載がスタートしました「まちかど」は、今号で最終回を迎えます。長きにわたり愛読いただいた皆さま、ありがとうございました。また、執筆者の皆さまにも心から感謝申し上げます。次号からは新シリーズ「手話で話そう」と「おうちでフィットネス」を連載します。新たな企画を通じて、さらに役立つ情報や学びをお届けします。
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