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九谷焼イッピン!ここが見どころ!

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石川県能美市

~近代色絵九谷の変遷~

◆今月のイッピン!
「小酒磯右衛門(こさかいそえもん) 色絵楼閣山水図鉢(いろえろうかくさんすいずはち)」

小酒磯右衛門(こさかいそえもん)は天保4年(1833)高堂(たかんどう)村(現小松市高堂町)の農家の6男に生まれ、幼少の時から技芸に優れ、村内の寺の住職に習字を教わっていました。また斎田伊三郎(さいたいさぶろう)(道開(どうかい))の佐野(さの)窯で3年修行して、さらに九谷庄三(くたにしょうざ)の門も叩きました。安政5年(1858)郷里の高堂村で陶画を業として独立し、翌年工房を開きました。
道開と庄三の両巨匠と交流して、それぞれの特徴をよく取り入れた独自の「高堂絵付」という画風と色調を編み出しました。上絵は写生風に文様を配し、構図においては雄大な山水図を取り入れ、気品を感ずるものが多くあります。緑を基調とした画風は重厚感があり、耕作の図や老松(ろうしょう)、鶴の巣ごもりの図などの名作が伝えられています。
磯右衛門は趣味が広く、村童(そんどう)を近隣の寺に集め習字を教え、仏華(ぶっか)を立て、蓮花生花(れんげいけばな)の法式を究めたといいます。明治33年(1900)に67歳で他界しました。
当該作品は見込みに緑を基調とした雄大な楼閣(ろうかく)山水図が描かれており、複数の絵具で山の陰影(いんえい)・奥行きが表現されています。縁には松・麻の葉が中心の小紋があり、和絵具だけでなく、中間色の洋絵具や本金を使用しています。道開と庄三の教えから、磯右衛門独自の世界観が表現されているイッピン!です。
(文・五彩館学芸員 宮山)

小酒磯右衛門 色絵楼閣山水図鉢
サイズ:口径24.0/高7.0cm
作者:小酒磯右衛門
生没年:1833(天保4)~1900(明治33)年
制作年:明治時代
所蔵:KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|

◆INFO
▽|浅蔵五十吉記念館|開館30周年記念展
第1弾「五十吉 深香陶窯(しんこうとうよう)展~初代から現代まで~」
期間:~8月6日(日)
会場:「浅蔵五十吉記念館」

▽「五十吉 深香陶窯展」関連イベント(列品解説)
日時:6月18日(日)13時30分~
会場:「浅蔵五十吉記念館」
講師:浅蔵一華さん(五十吉深香陶窯)

▽6月20日(火)は展示替えのため臨時休館します(五彩館)

▽コレクション展「九谷牡丹展」・「九谷のどうぶつ展」
期間:~6月18日(日)
会場:「五彩館」紫の間・緑の間

▽「日本現代工芸美術展石川展 能美巡回展」
期間:6月21日(水)~7月23日(日)
会場:「五彩館」ロビーギャラリー・紫の間・緑の間

■情報発信元 KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|
入館料:一般430円・75歳以上320円・高校生以下無料
※浅蔵五十吉記念館もあわせて入館いただけます。

基本的感染対策(手指消毒など)にご協力をお願いします。

問合せ:【電話】58-6100【FAX】58-6086
※月曜休館

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