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九谷焼イッピン!ここが見どころ!

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石川県能美市

~近代色絵九谷の変遷~

◆今月のイッピン!「初代德田八十吉(しょだいとくだやそきち)色絵芙蓉図花瓶(いろえふようずかびん)」

初代德田八十吉(とくだやそきち)は明治6年(1873)11月20日、小松の大文字町(だいもんじちょう)にあった染色業(せんしょくぎょう)の亀屋伊助(かめやいすけ)の長男として生まれました。幼い頃から日本画を志し、荒木探令(あらきたんれい)や山本永暉(やまもとえいき)に師事し、みずから公暉(こうき)と号しました。その後松本佐瓶(まつもとさへい)に付いて九谷上うわえつけ絵付を学び、師である荒木探令が磁器に着画することになって、ますます九谷上絵の研究に心血を注ぎました。特に古九谷(こくたに)、吉田屋窯(よしだやがま)の絵の具の再現に生涯をかけて挑み、九谷上絵を自在に表現しうるまでになりました。昭和28年(1953)3月には、「上絵付(九谷焼)」の分野で助成の措置を講ずべき無形文化財として選定されています。これにより「無形文化財技術保存記録」として文書記録と技術記録の提出が求められ、昭和30年(1955)7月に「色絵松鶴図九角飾皿(いろえしょうかくずきゅうかくかざりざら)」と呈色板(ていしょくばん)2枚を提出しました。かなりの月日を要したのは、素地(きじ)作りから上絵まで、納得できるまで何度もやり直したからだといいます。
晩年は鬼仏(きぶつ)と号して陶磁業以外の文化活動にも参加しました。昭和31年(1956)2月20日82歳で他界しました。
当作は、大正期頃の作と思われ、初代の作としては珍しくいわゆる古九谷風でなくアールヌーボー様式を意識した近代的な意匠デザインとなっています。研究を積み重ねてきた深みのある色釉薬とマッチしたイッピン!です。
(文・館長 中矢)

初代德田八十吉 色絵芙蓉図花瓶
サイズ:胴径24.5/高36.5cm
作者:初代德田八十吉
生没年:1873(明治6)~1956(昭和31)年
制作年:大正期頃
所蔵:KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|

◆INFO
▽|浅蔵五十吉記念館|開館30周年記念展
第1弾「五十吉 深香陶窯(しんこうとうよう)展~初代から現代まで~」
期間:~8月6日(日)会場「浅蔵五十吉記念館」

▽「日本現代工芸美術展石川展 能美巡回展」
期間:~7月23日(日)
会場:「五彩館」ロビーギャラリー・紫の間・緑の間

▽「日本現代工芸美術展石川展 能美巡回展」ギャラリートーク
日時:7月16日(日)13時30分~
講師:山岸大成氏

■情報発信元 KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|
入館料:一般430円・75歳以上320円・高校生以下無料
※浅蔵五十吉記念館もあわせて入館いただけます。

基本的感染対策(手指消毒など)にご協力をお願いします。

問合せ:【電話】58-6100【FAX】58-6086
※月曜休館

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