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九谷焼イッピン!ここが見どころ!~赤絵九谷の系譜と展開~

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石川県能美市

■今月のイッピン!「谷口金陽堂製(たにぐちこんようどうせい) 赤絵金彩観桜図大花瓶(あかえきんさいかんおうずおおかびん)」
谷口金陽堂(たにぐちこんようどう)は、初代の吉次郎が明治8年(1875)に金沢に九谷焼店を開いたことに始まります。同28年(1895)に神戸に支店を設け海外輸出に尽力し、二代吉蔵は支店を切り盛りしましたが、同38年(1905)に弟の与十郎に譲りました。同41年(1908)に初代吉次郎は隠居して吉翁と称し、二代吉蔵が襲名して後を継ぎました。欧米等海外に往来し販路拡張に努めましたが、昭和2年(1927)に後を松本佐太郎に託して第一線から退きました。
本作は高さ62cmの大作で、主題は日本女性の花見の図と、背面には百人一首の歌人が集う絵柄となっており、いかにも日本を意識した欧米向けの作品です。高台銘は「明治弐拾七年市俄古(しかご)博覧会/九谷谷口造」とあります。市俄古とは米国のシカゴのことですが、シカゴ万国博覧会の開催は明治26年(1893)で1年のずれがあります。他館所蔵品ですが、名工澤田南久作品にも「明治二十七年/市俄古博覧会/南久画」との銘があります。これらは里帰り品であることは間違いありません。同博覧会の公式記録にも九谷赤絵など日本の陶磁器が多数出品されたとの記述があることから、シカゴ博覧会に出品した作品と考えてもよいと思われます。1年のずれ問題は今後の調査研究を待たなければなりません。(文・館長中矢)

谷口金陽堂製 赤絵金彩観桜図大花瓶
サイズ:口径25.0/胴径38.5/座径20.0/高62.0cm
作者:谷口金陽堂
制作年代:明治27年(1894)
所蔵:|五彩館|

◆INFO
▽コレクション展(4)「名工歴代展ー近現代九谷の名家の系譜ー」
会場:五彩館
期間:~令和7年1月26日(日)

▽「第9回九谷ぬり絵コンテスト展覧会」
会場:五彩館
期間:12月8日(日)~令和7年1月13日(月・祝)

※年末年始(12月29日(日)~令和7年1月3日(金))は休館します

情報発信元:KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|
入館料:一般430円・75歳以上320円・高校生以下無料
※浅蔵五十吉記念館もあわせて入館できます。

問い合わせ:【電話】58-6100【FAX】58-6086 ※月曜休館

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