■今月のイッピン!「斎田道開(さいだどうかい) 赤絵割模様五羅漢図平鉢(あかえわりもようごらかんずひらばち)」
斎田伊三郎(さいだいさぶろう)(のちの道開(どうかい))は、寛政8年(1796)に佐野村の桶屋(おけや)伊三右衛門の長男として生まれました。16歳の頃に再興九谷窯の若杉窯(わかすぎがま)へ行き、本多貞吉(ほんださだきち)から製陶の技を習いました。貞吉の病没後は、赤絵の名工といわれた三田勇次郎(みたゆうじろう)に師事し、赤絵とその色彩法を6年間学びました。その後、山代や京都、肥前、尾張、美濃、丹波など、全国の窯業地を巡って陶技や製陶上の知識を習得し、天保元年(1830)に戻りました。
若杉窯や隣村の小野窯(おのがま)で活躍した後、天保6年(1835)に独立、郷里の佐野村で陶画塾を開き多くの門弟を集めました。安政5年(1859)には、佐野地内や鍋谷山で良質の陶土が発見されたこともあり、素地生産の窯を作りました。これが佐野窯の起こりになり、産業化を進めるため、上絵付と素地製作の分業を早くから提唱しました。また「二度焼き技法」を生み出し、現代に続く佐野赤絵の作風を確立しました。伊三郎は佐野赤絵の祖として、橋田与三郎(はしだよさぶろう)や冨田松鶴(とみたしょうかく)ら大勢の門人を育てました。晩年には「道開」と号し、明治元年(1868)に病のため73歳で没しました。(文化元年(1804)生まれで享年65歳とする異説あり)
本作は佐野九谷陶祖神社が所蔵する作品で、能美市指定文化財の一つです。三ツ割模様を描き、周縁を赤絵細描の小紋で描き埋め、見込みには色絵で五羅漢(ごらかん)図が描かれています。全体的に赤絵小紋が主体となり、佐野赤絵の作風の礎を築いたといえるイッピン!です。(文・学芸員宮山)
斎田道開 赤絵割模様五羅漢図平鉢
サイズ:口径39.0/高7.5cm
作者:斎田道開
生没年代:寛政8(1796)~明治元(1868)年
※文化元(1804)年生まれとする異説あり
制作年代:江戸時代後期
所蔵:佐野九谷陶祖神社(|五彩館|展示)
◆INFO
▽「第62回日本現代工芸美術展石川展 能美巡回展」
期間:~7月15日(月・祝)
会場:|五彩館|
▽コレクション展(3)「色絵九谷壺・花器展」
期間:7月17日(水)~8月4日(日)
会場:|五彩館|
※|体験館|は9月末まで改修工事のため休館
絵付け体験は|五彩館|2階で可能です。
8月末まで受付
■情報発信元:KAM 能美市九谷焼美術館|五彩館|
入館料:一般430円・75歳以上320円・高校生以下無料
※浅蔵五十吉記念館もあわせて入館いただけます。
問合せ:【電話】58-6100【FAX】58-6086
※月曜休館
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