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九谷焼イッピン!ここが見どころ!~赤絵九谷の系譜と展開~

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石川県能美市

■今月のイッピン!「内海吉造(うつみきちぞう) 赤絵唐草文大徳利(あかえからくさもんおおとっくり)」
内海吉造(うつみきちぞう)は民山窯(みんざんがま)に従事した鍋屋吉兵衛(なべやきちべえ)の子息で、初名を栄吉(えいきち)と称しました。屋号を鍋屋と称しその4代目で、祖父は吉田屋窯(よしだやがま)の名工の鍋屋丈助(じょうすけ)です。幼少から父の業に従い、嘉永3年(1850)には加賀藩お抱え絵師の佐々木泉龍(ささきせんりゅう)に日本画を学び、松齢堂陶山(しょうれいどうとうざん)と号しました。金沢河原町(片町)に住み、当初は能美郡の小野窯(おのがま)等で陶画を付けたといいます。明治に入り栄吉は名を内海吉造と改め、元加賀藩士の阿部碧海(あべおうみ)が士族授産(しぞくじゅさん)のため金沢古寺町(片町2丁目)の自邸で明治2年(1869)に開いた阿部碧海窯の工場長となりました。碧海は任田旭山(きょくざん)、小寺椿山(ちんざん)ら民山窯以来の陶画工と徒弟80名余りを従事させましたが、負債がかさみ明治12年(1879)に工場を閉鎖しました。翌13年(1880)、吉造は窯を継いで自ら為い絢社(けんしゃ)を興し、多くの陶画工を養成しました。門下に竹内安久、笹田友山、清水清閑、赤丸雪山、友田安清らを出しました。
本作は赤絵金彩で胴部に唐草と梅鉢紋(うめばちもん)が巧みに描かれています。ハレの場のお神酒(みき)入れに使用したと思われます。裏銘は「九谷」「陶山」です。廃藩置県以前は少なくとも大聖寺藩領内産の色絵磁器のみが「九谷焼」でした。吉造作の金沢産であっても、「九谷焼」だという認識に改まった廃藩置県以後の明治4年(1871)から亡くなる明治18年(1885)までの明治前期の作とみることができる、金沢赤絵のイッピン!です。(文・館長中矢)

内海吉造 赤絵唐草文大徳利
サイズ:口径4.0/胴径16.0/高25.2cm
作者:内海吉造
生没年代:天保2(1831)~明治18(1885)年
制作年代:明治時代前期
所蔵:KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|

◆INFO
▽「第80回現代美術展能美展」※本紙最終ページ
期間:8月8日(木)~20日(火)※会期中無休
会場:五彩館・浅蔵五十吉記念館

▽「九谷の陶彫展-宮本直樹-」 会場 五彩館
期間:8月24日(土)~10月9日(水)

▽「創造美術会陶芸部展」 会場 五彩館
期間:8月24日(土)~10月9日(水)

▽「第80回現代美術展能美展」関連イベント〈ギャラリートーク〉
日時:
〈第1回〉8月10日(土)14時~ 会場 五彩館
〈第2回〉8月12日(月・振休)14時~ 会場 浅蔵五十吉記念館

▽「九谷の陶彫展-宮本直樹-」関連イベント〈ギャラリートーク〉
日時:8月31日(土)13時30分~
会場:五彩館
講師:宮本直樹氏

※展示替えのため臨時休館 会場 五彩館・浅蔵五十吉記念館・体験館
期間:8月5日(月)~7日(水)、8月21日(水)~23日(金)

■情報発信元:KAM 能美市九谷焼美術館|五彩館|
入館料:一般430円・75歳以上320円・高校生以下無料
※浅蔵五十吉記念館もあわせて入館いただけます。

問合せ:【電話】58-6100【FAX】58-6086
※月曜休館

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