横浜地方気象台の観測による年平均気温は、100年当たり2.1℃の割合で上昇するなど、既に県内でも温暖化が進んでいます。
今以上の対策を取らなかった場合、21世紀末には年平均気温が20世紀末と比べて約4.2℃上昇すると予測されており、災害や食料危機、水不足、健康被害などのリスクがさらに高まります。
横浜 年平均気温 1897-2023年
出典:気象庁過去の気象データを基に県で作成
■大雨や台風の激甚化
今年の夏の台風第10号では、県内でも記録的な大雨の影響により崖崩れや住宅の浸水・全壊などの甚大な被害が発生しました。このまま温暖化が進むと、21世紀末には滝のように降る雨※の発生が約2倍になると予測されており、災害がさらに激甚化する恐れがあります。
※滝のように降る雨…1時間降水量50mm以上
■藻場(もば)の消失
海水温の上昇による生育不良、魚・ウニ類による食害、大型台風の影響などが原因で、海藻類が繁茂する藻場がなくなってしまう「磯焼け」が相模湾全域で拡大し、1990年と比較して約80%の藻場が消失しました。藻場は魚貝類などの成育場等の機能があるため、磯焼けの拡大は漁業や環境に多大な悪影響を及ぼします。
◆ブルーカーボンが注目されています!
○ブルーカーボンとは
藻場は海水中の二酸化炭素(CO2)を光合成により吸収・固定するブルーカーボンとしての機能も持っており、藻場再生は温暖化対策の重要な役割を果たしています。
○藻場再生の取り組み
県水産技術センターは、かつて県内沿岸に大規模な藻場を形成していたカジメ等の培養・育成技術を開発しました。中でも通常より早く成熟する早熟カジメを使うことで藻場再生を加速させるための取り組みを漁協や漁業者などと協力して行い、漁場環境の回復とブルーカーボンの増大を進めています。
■熱中症や感染症の増加
最高気温35℃以上の猛暑日が急増し、今年は22日も観測されました。熱中症による県内の救急搬送者数も10年前と比べて、今年は2倍以上の約4,800人となっています。このまま温暖化が進むと、21世紀末には猛暑日が40日程度になると予測され、熱中症のリスクが高まるとともに、気温上昇により蚊の生息地が広がり、デング熱などの感染症のリスクも高まります。
○横浜における猛暑日(35℃以上)の日数の変化
出典:気象庁 過去の気象データ、横浜地方気象台「神奈川県の21世紀末の気候」を基に県で作成
■農作物への影響
高温によりコメやミカンなどは、品質が低下して、味や外観などが悪くなる可能性があり、農家の収入にも影響する恐れがあります。また、市場への供給量が減少し、価格が上昇することで一般家庭への影響も懸念されます。
◆温暖化をストップするためには
地球温暖化に歯止めをかけるためには、CO2などの温室効果ガスの削減が必要です。そのため、県は2050年脱炭素社会の実現に向けて、2030年度までに温室効果ガス排出量を50%削減(2013年度比)することを目標に取り組んでいます。
脱炭素社会を実現するためには、企業や県民の皆さまなど全ての主体が気候変動問題を「自分事」として捉え、「オールジャパン、オール神奈川」で取り組みをさらに加速させる必要があります。
→具体の取り組みについては本紙4・5面でご紹介
上記記事に関する問合せ:
地球温暖化全般に関することについては県脱炭素戦略本部室【電話】045-210-4065【FAX】045-210-8952
藻場再生については県水産課【電話】045-210-4542【FAX】045-210-8853
感染症の増加については県健康危機・感染症対策課【電話】045-285-0776【FAX】045-633-3770
農作物への影響については県農政課【電話】045-210-4414【FAX】045-210-8851
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