博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。
■祝デビュー100年!作家「和田傳(でん)」誕生の一冊
大塚 真由美
和田傳のデビュー100年を記念した企画展が7月22日から始まります。厚木を代表する作家である和田の名前は「和田傳文学賞」などで知っている方も多いと思いますが、そのデビューが今からちょうど100年前の7月でした。早稲田大学を卒業した1923年、厚木周辺を舞台に、農具の機械化に順応できない老農夫の悲哀を描いた短編「山の奥へ」が『早稲田文学』に掲載されたのです。『早稲田文学』は、東京専門学校文学科(現早稲田大学文学部)の機関誌として、1891年に同大学文学部創設者・坪内逍遥(つぼうちしょうよう)により刊行された文芸誌で、写真は掲載に至る過程の貴重な校正刷りです。
展示では、和田が100年前に赤を入れた跡が生々しい本資料と、掲載誌『早稲田文学』もご覧いただけます。作家和田傳の出発点をどうぞお見逃しないよう、ご来館をお待ちしています。
※写真(「山の奥へ」ゲラ刷り)は本紙をご覧ください。
詳しくは博物館HPに掲載
問合せ:あつぎ郷土博物館
【電話】225-2515
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