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熱気人(あつぎびと)インタビュー 脚本家 古沢 良太さん(1)

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神奈川県厚木市

厚木市出身の脚本家・古沢良太さんが紡ぎ出す物語は、映画やドラマ、舞台などの作品になり、多くの人を引き付けています。昨年はNHK大河ドラマも手掛けた古沢さんに、脚本家の道を歩み始めたきっかけや、生まれ育ったまちのことなどを聞きました。

プロフィル:1973年厚木市生まれ。2002年第2回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞を受賞し脚本家としてデビュー。06年「ALWAYS三丁目の夕日」で第29回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。昨年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の脚本も手掛けた。主な作品に「キサラギ」「相棒シリーズ」「探偵はBARにいる」「リーガル・ハイ」「少年H」「寄生獣」「コンフィデンスマンJP」「レジェンドandバタフライ」「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」などがある

◆脚本家として
▽脚本家の仕事に興味を持たれたきっかけを教えてください
もともと絵を描くのが好きで、漫画家になりたいと中学生ぐらいから思い始めて、当時、手塚治虫先生が「漫画家になりたければ、一流の映画を見なさい」と言われていたのを真に受けて、物語の作り方を勉強するために古い映画なども見始めました。テレビっ子だったのでドラマも好きでした。当時、黒澤明監督の映画がビデオになっていなかったので、図書館にあった脚本集を借りて読むようになり、あぁ脚本書くのも面白いなと思うようになりました。

▽初めは漫画家を目指されていたんですね
小・中学生の頃は、友達に「絵がうまい」と褒められて、調子に乗って、先生をキャラクター化した4コマ漫画などを学校新聞に描いていました。漫画家になりたいと思ったのは、藤子不二雄先生の「まんが道」を読んでからです。中学生の頃に買った本を今も持っていますよ。高校・大学と投稿して賞に入ることもあったんですが、デビューには至りませんでした。

▽脚本家の道を選んだ転機は
1年間通ったシナリオのスクールで、初めて脚本というものをちゃんと1本書いて、それをすごく先生に褒めてもらって、ちょっとそこで自信がついたっていうのはありました。ただ、本当に書くのが大変で。こんなことを仕事にはできないと思ったり、やっぱり絵を描くのが好きだから漫画家になりたいと思ったりして、就職もせずブラブラしている時代がありました。それで、27・28歳ぐらいの時に、ちゃんと、夢を追うなら追う、やめるならやめると、けじめをつけようと思って、テレビ局主催のシナリオコンクールに応募しました。それが大賞に選ばれ、そのまま連続ドラマの脚本家の一人に入れていただいてという感じです。

▽脚本を書く大変さを教えていただけますか。漫画との違いは
漫画も大変だし、…うん。やっぱり、多くの作品を見たり読んだりしていると、誰でも、批評家としての目は持っているじゃないですか。でも自分が書くとなると、こんなものしか書けないのかっていう壁に直面して。批評家としての目が高ければ高いほど、創作者としての力のなさに絶望して、嫌になって、最後まで書けないというのがほとんどの人だと思うんです、目指したけれどやめてしまう人は。でも、とりあえず、恥をさらけ出す覚悟で最後まで書き切るっていうことが本当に…、なかなか難しいことですよね、それは。しかもそれを人に見てもらって、批評を浴びるっていうのは。人に見せるに値するほどの面白い話を考えるって、簡単じゃないじゃないですか。それを、毎週のように考えて書いていく仕事って、ちょっと想像できませんでした。

▽私たちは脚本そのものではなく、多くの方の手を経て出来上がった映画やドラマを目にします。古沢さんはどう捉えていますか
もちろん楽しみと不安と両方ありますよね。ただ、僕の思い描くものは僕の中にしかなくて、文字で伝えるのには限界があるので、受け取った人がどう表現するかは、また別なので。極端に言うと、思い描いていたものとは常に違うものが出来上がってくるんですよね。でも、僕が目指したものが出来上がることがゴールではなくて、見てくれた人が楽しんでくれるものを目指してみんなで作るもの。お客さんが喜んでくれれば僕はそれでいいんです。いろんな人のセンスやアイデアが入り交じっているのが、ドラマや映画の面白いところだし、みんなでものを作ることの醍醐味(だいごみ)だと思っています。

▽脚本を書くときに大事にしている事や、心掛けている事はありますか
心掛けてる事…、いや、あるはずですよね。いろんな仕事の誘いを頂くけれど、やっぱり自分として、情熱を注げるかどうかということが多分一番大事で、チャレンジしてみたいとか、やりがいを見いだせるかということ、一方で、自分のために作るわけではないので、受け取ったお客さんたちの多くが喜んでくれるだろうという、この二つの円が重なる所を見つけるっていうこと、あとは、楽しむことかなぁと思います。

▽脚本家を選んでよかったと思う瞬間はどんな時ですか
選んでよかったと思うのは、そうですね…。でも、常に思っていますね。日々思っています。作り話を書いて、みんなに喜んでもらって、お金をもらっているわけなので。ありがたいことだと思うし、どの瞬間とかではなく、やっぱり、考えたり書いたりすることが好きで、創作する人生を送れているということそのものが、最大の喜びというか、幸せなことだと思います。

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