■トラツグミ(ヒタキ科)
全身が黄褐色、胸や腹は黒褐色のトラまだら模様が名の由来。全長30センチほどの大型のツグミ類。丘陵地から低山地で見られるが、準絶滅危惧種で数は少ない/中荻野の雑木林で見つけた。
「シィー」と鋭い鳴き声を残し、やや大きめの鳥が飛んでいった。姿を追いかけると太いサクラの枝に止まった。双眼鏡で見ると、あまり見かけないトラツグミだった。
枝先には早咲きの花があり、肌色の足と上品な色合いをした、貴重で美しい姿を垣間見た気がした。
トラツグミが夜間に鳴く「キーン、ヒョー」というバイブレーションのかかった声が、「鵺(ぬえ)」の声として気味悪がられている。いつの時代も人間にとって澄んだ夜の声は、少し怖いが興味ある世界である。
最近、鳥たちの姿が減っている。生息環境の保全が必要だ。
写真・文:吉田文雄
※写真は本紙をご覧ください。
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