博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。
■埴輪(はにわ)か土器か
佐藤 健二
現在、あつぎ郷土博物館では「あつぎの遺跡展・再発見!!あつぎの古墳」が開催されています。写真の史料は市内でも数少ない前方後円墳のホウダイヤマ1号墳から出土したもので、高さ58センチと比較的大きなつぼの形をしています。展示では「壷(つぼ)形埴輪」としていますが、正直なところ、埴輪なのか土器なのかハッキリとは分かっていません。
表面や内面にはハケ目という筋状の調整痕が残されているなど、埴輪製作の技術を用いて作られていて、外見上は埴輪と相違ないように思われます。しかし、埴輪には本来ないはずの「底」があり、土器なのではないかとも考えられます。この底部には最初から大きな穴が開けられていて、物を入れる容器としては想定されていないようです。
いろいろな意見や見方はあると思いますが、古墳の上に並べて置くために作られたと考えられることから、あえて「壷形埴輪」としています。ぜひ、博物館で実物をご覧になってください。
※写真は本紙をご覧ください。
問合せ:あつぎ郷土博物館
【電話】225-2515
<この記事についてアンケートにご協力ください。>