博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。
■博物館にあふれる若き情熱
大塚 真由美
博物館のホールには、三田出身の彫刻家・難波孫次郎氏(1914~2010)の作品が並んでいます。本厚木駅前北口広場にある大型のブロンズ、隆々としたハンマー投げの男性像「若き心」の作者と言えば皆さんお分かりでしょうか。
今回紹介する「継走」(塑像(そぞう))は、1975年頃の日展出品作です。躍動する男性の力強い表現を得意とし、スポーツに打ち込む姿を「正々堂々卑劣なき清純な若き心」と愛しました。「継走」はリレー選手をテーマにした三部作のようですが、右手のバトンを空に高々と掲げた展示作は第一走者でしょうか。彫刻家が表現した「心身一如」の境地を、他の作品も合わせて身近に感じていただければ幸いです。
今年4月、難波氏の作品と関連資料がご遺族から博物館に寄贈されました。睦合地域ゆかりの彫刻家であることから、地域展と併せ6月23日まで展示しています。
問合せ:あつぎ郷土博物館
【電話】225-2515
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