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【特集】厚木で暮らす外国人 国籍を越えた心のふれあいを(1)

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神奈川県厚木市

身近な人たちのことを、どれくらい知っていますか。市内には1万人近くの外国人が暮らしています。文化や価値観の違いを知り、一歩ずつ歩み寄ることで、誰もが住みよいまちに近づきます。特集では外国にルーツがある2人の姿を追いました。

■日本とインドネシアの懸け橋に
インドネシア出身
ヌルハニファーさん(40・旭町)

[インドネシア]
人口:約2.7億人
人口は世界第4位。約9割がイスラム教徒で1日に5回のお祈りや、豚肉や酒類など禁止された食べ物があり、女性は「ヒジャブ」と呼ばれるスカーフを身に付ける。

旭町にある食料品店に足を踏み入れると、異国の調味料や菓子、食材がずらりと並んでいます。「いらっしゃいませ」。笑顔でお客さんを迎えるのはインドネシア出身のヌルハニファーさん。「日本に住む外国人に喜んでもらえる商品をそろえている。故郷の味を思い出してもらいたい」と、インドネシアをはじめとした東南アジアの食料品を販売しています。

▽憧れの日本での生活
ヌルハニファーさんは小さい頃からアニメ「ドラえもん」が大好きで日本に興味を持ち、大学では日本語学科を専攻。教員研修生として来日しました。留学前から日本語を話せましたが、言葉の壁よりも環境の違いに戸惑いました。アルバイトや授業で忙しそうな日本人学生に話しかけられず、食事ではイスラム教徒が食べられる食材が身近な場所にはなく、卵と魚ばかり口にしていました。「憧れの日本で学べてうれしいはずなのに、心細くてホームシックになった」
そんな中、東南アジアの文化に興味があった日本人に声をかけられたのをきっかけに、来日して初めて友達ができました。「自分のことを深く知ろうとしてくれたことがうれしく、当時の心の支えだった」と話します。

▽困っている人の力に
日本で生活するため、食材を母国から取り寄せていたヌルハニファーさん。自動車工場で働く同郷の友人に頼まれ食材を届けると、とても喜ばれました。「もっと食に困っている人の力になりたい」と思うようになり、食材店を始めました。
厚木に店を出したのは2年前。お店に来たお客さんからは、生活の悩みを相談されることもあります。少しでも不安を和らげるために自身の経験を伝えながら、話を聞くことを心がけています。

▽お店からコミュニティーづくり
ヌルハニファーさんは、日本人の夫の慎一郎さん(45)と共に4人の子どもを育てています。「厚木は駅前が便利。公園や自然もたくさんあり、子育てしやすい」。家族で公園に遊びに行ったり、子どものバスケットボールを見に行ったりするのが休日の楽しみです。「子どもには国籍に関わらず多くの人と関わってほしい」と願っています。
現在、食料品店の1階にレストランを新設する工事をしています。「日本人の方にも来てほしい。たくさんの人をつなぐコミュニティーのような場所になれたら」。真っすぐな瞳で話すヌルハニファーさんは、今日も笑顔でお客さんを迎えています。

■心で通じ合う
ハンガリー出身
フェケテ・ジョゼフさん(41・毛利台)

[ハンガリー]
人口:約960万人
コンピューターの基礎やマッチ、ルービックキューブなどを発明した物作りが盛んな国。400を越える温泉や名字を先に表記するなど日本との共通点も多くある。

光が差し込む森の中、楽しげな話し声が聞こえてきます。「自然に囲まれリラックスすると新しいアイデアがどんどん出てくる」と話すジョゼフさん。8年前から、七沢でレジャー関係の仕事をしています。

▽未知の環境に飛び込む
ハンガリー出身のジョゼフさんが日本を訪れたのは2010年。日本語学校で言語を学び、ドローン関係の会社に正社員として入社しました。3年ほど働きましたが、時間や規則などで細かく決められた仕事の進め方が肌に合わず退職。その後はウエイターや、高木を伐採・せん定する造園業なども経験しました。ハンガリーの自然に囲まれた地域で育ったことや物作りが得意だったこともあり、次第に特技が生かせる環境で働きたいと考えるようになりました。
その頃、ジョゼフさんは結婚を機に妻の穂波さん(36)の親戚がいる厚木に住み始めました。仕事を探す中で七沢のアスレチック施設を知り、オーナーの三好洋一さん(57)と出会います。三好さんは「多くの日本人と働いてきたがこんなに気が合う仲間は初めて。自由な発想や考え方も似ていて、やりやすい」と話し、二人でアイデアを出し合い型にとらわれず自由に仕事を進めています。
市内で自分を出せる仕事を見つけたジョゼフさん。「厚木は私の地元に雰囲気が似ている」と、休日は家族で公園や川遊びに出かけたり、友人を招いて庭でハンガリー料理を振る舞ったりと、このまちでの暮らしを楽しんでいます。

▽心の壁を越えて
ジョゼフさんは日本に来て多くの人と知り合う中、「外国人だから」と、相手が戸惑う様子を感じる場面がありました。「どう接したらいいんだろうという一瞬の戸惑いは空気で分かる。そうなると自然な会話はできない」と振り返るジョゼフさん。関わる人には、自分から積極的に話しかけることを心がけています。「日本に住んでいる外国人は日本語を話せる人も多い。壁を作らないで気軽に話しかけてほしい」と笑顔で話します。

▽力を合わせて
この夏、ジョゼフさんと三好さんは、旅館の一室を借りてバックパッカーやバイクで遠出する方向けの宿泊サービスを始めました。手先が器用なジョゼフさんは宿泊者が使うテーブルや椅子を木材で手作りし、こだわりが詰まった空間をつくっています。「遊び心を忘れず、来てくれる人に楽しんでもらいたい」と話すジョゼフさん。これからも大好きな自然や家族、仲間に囲まれながら、やりたいことにチャレンジしていきます。

問合せ:市民協働推進課
【電話】225-2215

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