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【特集】厚木を味わう(2) 朝市と共に50年

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神奈川県厚木市

■新鮮な物がいろいろそろう
朝市出店者組合 組合長
伊藤 洋文さん(66・温水)
朝市が始まった時は高校生で、両親が店を出す手伝いをしていました。自分が出店者として関わり始めたのは朝市が6年目を迎えた頃からです。
当時は直接お客さんに商品を売れる場所が少なかったので、自分の作った野菜やナシをうれしそうに買っていくお客さんの姿が印象的でした。初めは農家による出店が多かったですが、希望を受け肉や魚、加工品の店にも参加してもらい「朝市に行けば何でもそろう」と思ってもらえる場所を全員でつくってきました。これからも時代に合わせ、形を変えながら続けていきたいです。

■出店者の声
▽お客さんと直接話せる場所
小菅 稔久さん(69・戸田)
イチゴを中心に季節の野菜を出品しています。夢未市にも納品していますが、お客さんと直接話せるのは朝市ならではの魅力。「お薦めの食べ方は」など、自然と会話が生まれます。直接「おいしかった」と言ってもらえるとうれしくて、野菜作りにも張り合いがでます。

▽活気がある朝市
建部 和宏さん(54・栄町)
パンを出品しています。去年から出店を始めましたが、お客さんにも出店者にも活気があるのが朝市の魅力だと思います。朝市をきっかけにお店に来てくれるお客さんもできて、いろんな人に知ってもらえる良いきっかけになっています。

■市民朝市出店者を募集
対象:
(1)市内在住で専業で農畜産物や加工食品などの生産製造などを営む
(2)市内で生産された農畜産物や加工品を販売
(3)年間37回以上出店できる
(4)行事や会議、当番に協力できる
(5)朝市出店者組合の目的・趣旨を理解し同組合員の推薦がある
―の全てを満たす方
費用:入会金3万円、年間組合費4万5000円
申込み:農業政策課【電話】225-2801へ。

■来場者の声
▽新鮮でおいしい食材を買える
グルン・ロスニさん(40代)
1年前から毎週のように通っています。米や季節の野菜を買うことが多いです。どれも新鮮でおいしいので、通い続けたいと思います。

▽想像以上の活気に驚き
山口 保弘さん(36)
市外に住んでいますが、友人に勧められて来ました。加工品を中心に買いましたが、どのお店も活気があり、楽しかったです。

■来場者アンケート
期間:2022年4月10・17・24日
回答:298件

Q.利用頻度は?

Q.市民朝市を訪れる理由は?
・新鮮な物が買える
・目当ての店がある
・価格が安い
・品質が良い
・旬の物が手に入る
・生産者との交流がある

■朝市は人と人がつながる場
神奈川大学 国際日本学部
歴史民俗学科 山本 志乃教授(59)
市民朝市のような「市(いち)」は日本各地で催されています。地域ごとに品目や運営方法は違い、店頭に並ぶ農産物にはその土地柄が表れています。厚木の朝市は、野菜や果物だけでなく、魚や肉、パン、豆腐など多様な食材が集まっているのが特徴です。規格がそろわず市場に出せないものを販売できたり、新鮮な物を安く購入できたりと、両者にメリットがあるのはもちろんですが、朝市の役割は人と人のつながりが生まれることだと思います。「これいくら?」「こうやって食べるとおいしい」など、生産者と消費者との自然な会話は、スーパーマーケットでは生まれません。会話やつながりが持てる、大切な場だと思います。
よく地産地消という言葉を耳にします。地元の農家のためという理由もありますが、本来、地元の人が地場の物を食べるのは当たり前のこと。鮮度はもちろん、その地で採れた旬の物を食べることは、人の自然な在り方ではないでしょうか。
市民の皆さんにとって必要だからこそ、50年間続いてきたのだと思います。AIの普及など世の中が変わる中、人と人が顔を合わせて言葉を交わす貴重な場であり、厚木の宝です。地域の生活文化を次世代に継承する役割もあるので今後も長く続けてほしいと思います。

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