博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。
■火を灯す
大野 一郎
1月18日から、「あかりの道具」を取り上げた企画展を開催します。
照明器具の発達した現在、世の中は本当に明るくなりました。例えば、皆さんが作業をする一般的な事務室内で1000ルクスの明るさと言われますが、時代劇でよく見かけるあんどんはおよそ50ルクス程度でした。ろうそくや石油ランプなど、火を明かりに使用した場合、明るさはその程度だったのです。浮世絵を展示中の博物館では、絵の退色を防ぐため、同じくらいの明るさにしてあります。暗くはありますが、当時は暗さも楽しんでいたようで、あんどんに映った芯押さえのゆらぎも、心に余裕があれば、きれいだと思えるでしょう。
市内在住の写真家・加藤芳明さん寄贈の灯火具約700点から明かりの歴史を物語る選りすぐりの優品を展示します。ぜひご来館ください。
問合せ:あつぎ郷土博物館
【電話】225-2515
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