駅へ、職場へ、買い物へ、皆さんは普段どうやって移動していますか。生活に合った交通手段を選べるのが一番ですが、10年、20年後、さらにその先、今と同じ方法を続けられるでしょうか。生活の変化に合わせて交通手段を選べるよう、将来自分がどうやって移動するのか、一度想像してみませんか。
■路線バスがあるのは、当たり前じゃない
路線バスの利用者は減少傾向にあり、運転士のなり手も減っています。それに合わせて運行本数も減りつつあります。必要な時に使えるようバスを維持していくためには、皆さんの積極的な利用が必要です。
■厚木のバス路線
本厚木駅を中心に、放射状にバス路線が広がり、路線に沿って住宅地が形成されています。
■本厚木駅周辺への交通手段
出典:2023年市民意識調査(回答数1413人)
■バスに乗る人も乗らない人も自分の交通手段を考えよう
今バスを使っているかに関わらず、一人一人が将来どうやって移動するかを考えることが大切です。考えるためのチェックリストと、市の取り組みを紹介します。
▼チェックリスト
□何歳まで車を運転する?
…車を手放した後はどうするか、路線バスは今と同じように走っているか
□最寄りのバス停はどこ?
…「厚木市の公共交通」の裏面にある路線図を見て、最寄りのバス停や本数を調べる
□今からできることは?
…バスに乗ってみる、健康維持のために運動をする
◆「今は車に乗っているけれど、高齢になって車を手放したらバスに乗りたい」
車を使いながら、月に1回、週に1回でもバスを利用してみましょう。市では高齢者のバス・タクシー利用を後押しするため、助成やチケットの配布をしています。対象などの詳細は市HPへ。
▽かなちゃん手形購入費助成
1回100円で神奈中バスに乗れる割引券「かなちゃん手形」の購入費用を助成します。
助成額:1年券…7800円(自己負担額3000円)
▽高齢者タクシー助成
市が協定しているタクシー事業者で使える利用券を配布します。
助成額:400円券×48枚
問合せ:福祉総合支援課
【電話】225-2220
◆「路線バスに乗ったことがないのでやり方が分からない」
パンフレット「厚木市の公共交通」では、市内の全ての路線図や、バスの乗り方、支払い方法などを紹介しています。市HPから見られます。
◆「バス停が遠くて困っている人が周りに多い」「コミュニティ交通を検討してみたい」
コミュニティ交通は、バス停から距離がある交通不便地域を運行するバスです。市内では現在二つの地域に導入しています。
▽森の里地域、鳶尾・まつかげ台・みはる野地域で運行
運営協議会などが主体となって立ち上げ、ルートや本数決め、運転なども地域で運営しています。
導入方法など詳しくは都市計画課へ。
■将来を見据えて明日の行動を変える
市地域公共交通会議委員長
東海大学建築都市学部土木工学科
梶田 佳孝 教授(54)
バスの減便や廃線は全国的な課題で、県内でも同様です。話を聞くと、多くの方が将来の移動方法に不安を抱えています。公共交通を維持するためには、普段バスを利用していない方も週に1回、月に1回でもバスを利用するように生活のスタイルを変えていくことがとても大事です。
公共交通は防災と同じで、日頃から考えて備えることや、地域で協力し合うことが大切です。近所の方と交通について話してみることはいいきっかけになります。また、普段バスを使わない方は実際に乗ってみる体験も大事です。意外と便利に感じるかもしれません。
自動運転などの新しい技術の導入にはまだまだ時間がかかるため、すぐに頼れる特効薬とはなっていません。今ある公共交通を守ることが最優先です。行政や企業が何とかすることだと思わず、「明日からバスはなくなります」と言われてから困ることのないように、一人一人が能動的に考えて事前に備えられると良いです。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>