古谷田力市長は2月26日、市議会第1回定例会において、令和6年度施政方針を次のとおり表明しました。
本日ここに、令和6年度の予算並びに諸議案をご審議いただくにあたり、私の市政に対する所信の一端を申し述べ、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
昨年5月、私が第18代大和市長に就任してから、まもなく10カ月が経過します。私が市長に選ばれたという結果には、市民第一主義の市政、そして、こどもから高齢の方まで、立場や境遇に関わらず、一人ひとりが幸せを実感できる新時代への期待そのものが表れていると受け止めています。
そうした市民の皆様の期待に応えるため、まず取り組んできたのは皆様の声を聴くことです。現地現場を重視し、私自身が様々な場所へ積極的に足を運び、市民の皆様の声や意見に耳を傾けてまいりました。これまで延べ30回以上にわたって実施しておりますが、市民の皆様の望むことが何であるのか、また、どのようなことに課題を感じているのかなど、活動する中で丁寧に汲み取った内容は、十分に精査しながら、施策の展開につなげてまいりたいと考えております。この活動は、市長を志した私の原点ともいえるものです。今後も引き続き、現地現場での広聴活動をはじめ、市長への手紙などを通じて、様々な方の貴重な意見を積極的に伺ってまいります。このほか、1月に実施した市民の幸福度を把握するためのアンケートの調査結果も踏まえ、市民の皆様が心から幸せを感じられるまちの実現に向け、今後の市政運営を進めてまいります。
市民の皆様の声を聴く取り組みは、こどもから高齢の方まで全ての人が幸せ、ウェルビーイングを実感できる大和市を実現するために行っています。幸せであるためには体の状態が健康であるだけでなく、心の状態も良好であることが望まれます。
神奈川県では、健康と病気の間の変化を表す概念を「未病」として捉え、この未病を改善することによって心身をより良好な状態に近づけていくとしています。そのために、健康的な食生活、日常生活における運動、社会とのつながりの3つを柱とする取り組みを展開しており、この考え方は、本市が取り組む健康づくりの形にも通じるものと捉えています。
バランスの取れた食事、適度な運動やスポーツなどの健康的な生活習慣が健全な身体をつくることはいうまでもありませんが、人と人との様々な交流による社会参加を含め、これらは心の健康を保つ上でも重要な基礎となります。逆もまた然りで、心と体は密接な関係にあり、心の状態が良好であればあるほど、体に与える影響も良いものとなり、好循環が期待できます。例えばスポーツの世界では、通常、練習で身に着けた「技術」、自分自身の「体力」、そして勝つための「戦術」、の3要素を備えておくことが必要と言われますが、それらの根幹をなす心が健康であってはじめて、やる気や意欲がみなぎり、本来のパフォーマンスを発揮することができるのだと思います。私は、心の健康を実現することは、あらゆる人の豊かな人生に寄与すると信じており、今後も、心の健康づくりにつながる施策に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
我が国は現在、少子高齢化、人口減少が、かつてないスピードで進行する状況に直面しています。これに伴い、生産年齢人口も1995年をピークに減少を続けており、経済規模の縮小や労働力不足など、様々な社会的課題の深刻化が懸念されています。社会の変化に対し、行政は限られた資源の中で、効率的に対応していかなければなりません。その中で、子育て、福祉サービスの充実や維持はもちろん、自治体の垣根を越えた広域連携も確実に進めていく必要があると考えております。
昨年12月に合意した、海老名市、座間市、綾瀬市との消防通信指令事務の共同運用を目指した連携や、2月14日に協定を取り交わしたパートナーシップ宣誓制度の自治体間連携は、いずれも広域で取り組むことによりメリットが期待されるもので、現在、そして将来の大和市、大和市民にとって正しい選択であると考え、進めてきた結果であります。「大和」という名の由来には、互いを尊重し、大きく和していくという意味が込められています。この名にふさわしい役目を果たせるよう、私は、今後も様々な広域連携の可能性を探ってまいります。
一方、行政は、社会の変化だけでなく、予測不可能で、時として大きな混乱をもたらしかねない事態についても備えておく必要があります。その最たるものは自然災害への対応です。先の令和6年能登半島地震は、大きな自然災害がいつ起こるかわからないということを改めて思い知らされるきっかけとなりました。大規模な災害から市民、そしてまちを守り、被害を最小限化する。そのために、物理的な被害の軽減につながるハード面の取り組みと併せて、救急体制の強化をはじめ、災害時における民間事業者等との連携を進めるなど、ソフト面の施策の充実にも力を入れ、災害に強いまちを目指してまいります。
私は、目の前にある様々な課題や変革に対して今取るべき選択が、将来の大和市の行方を左右するキーポイントであると捉えています。そして、機を逸することなく、未来を見据えた適切な答えを出していくことが、市長に与えられた責務であると認識しています。
20世紀最大の芸術家とも評されるパブロ・ピカソは、「できると思えばできる、できないと思えばできない。これは、ゆるぎない絶対的な法則である」と述べました。この言葉は、未来に向かって市政運営に臨む私の心を奮い立たせます。任期中、持てる力の全てを尽くし、将来の明るい大和市を思い描きながら、一歩ずつ歩みを進めてまいります。
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