◆「歴史の峠」に立って
多くの市民の皆様の信託を頂き、5月24日、再び小田原市長として着任いたしました。前回の市長選後、耕作放棄地開拓や大学での講義など、心機一転してさまざまな実践に力を注いできたのですが、そんな4年間が夢であったかのように、何の違和感もなく市長として市役所に戻れたとの感があります。
3期12年間市長として全力を尽くしてきた日々の動きが、4年間のブランクを経てもなお心身に沁(し)みついていたから、また離れていても日々市政のことに思いを巡らせていたから、ということはあるでしょう。でもそれ以上に、市職員の皆さんが変わらぬ姿勢で私の再登板を迎え容(い)れてくれたこと、さらには行く先々で市民の皆さんから「良かったですね!」「頑張ってくださいね!」との温かな激励を連日頂けることなど、市長としての任を遂行する上でかけがえのない存在である皆さんが、以前と同様に支えてくれているからだと感じています。本当にありがたいことであり、それだけに、皆さんからの大きな期待に必ずや応えねばならないとの決意を新たにしています。
国内を見れば、人口減少、少子高齢化、深刻な担い手不足、地域コミュニティの弱体化、食やエネルギーの自給率の低さ、各種社会インフラの老朽化、地域経済の衰退、貧困や格差の拡大、子どもたちの成育環境の変化…。世界を見れば、気候変動、自然環境の劣化、絶えることのない戦火と緊張、融和や共生と逆行する政治勢力の台頭…。私たちは、こうした幾つもの困難な状況に一斉に取り囲まれ、いま選択を間違え道を踏み誤れば、この国や世界の持続可能性を損ね、取り返しのつかない未来へと足を踏み出すことになります。「歴史の峠」といわれる所以(ゆえん)です。そして、少なからぬ市民の皆さんが、日々さまざまな課題に直面し、今と将来への不安や生きづらさを抱えておられます。
そうした時代と社会にあって、市行政の舵(かじ)取りを担う市長には、市民の皆さんの眼前にある状況の具体的改善を果たすことに加えて、上述したような本質的課題の克服を目指す気概とビジョンが求められます。
何より「誠実」を旨とし、市民の皆さんとの「信頼」関係を大切に育て、共に歩む中で「希望」を広げながら、「誰もが笑顔で暮らせる、愛すべきふるさと小田原」を目指してまいります。
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