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国指定史跡小田原城跡 御用米曲輪の“いま” 〔戦国時代解明の鍵〕

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神奈川県小田原市

御用米曲輪(ごようまいくるわ)とは、天守閣がある本丸の北側に位置する江戸時代の土塁などに囲われた平場で、平成22年度からは、国指定史跡として保存・活用するため、継続的に調査・整備を進めています。発掘調査では、江戸時代の蔵や戦国時代の庭園を伴う建物跡など、重要な遺構が展開していることが分かっています。江戸時代の空間については、絵図や発掘調査で得た情報を基に、北西土塁や北東土塁、瓦積塀(かわらづみべい)の整備を実施してきました。
現在、戦国時代の空間構成を明らかにするための発掘調査を実施しています。

《慎重に進められる発掘調査》
平成22~27年度に行った調査では、戦国時代の建物跡や庭園などが見つかっていますが、戦国時代の空間はまだ不明瞭な点が多いため、令和5年度は第8次調査として発掘調査を実施しました。

戦国時代の空間を明らかにする鍵としては「石組水路(いしぐみすいろ)」という石で組まれた溝状(みぞじょう)の遺構の存在が挙げられます。この石組水路は、建物跡や庭園などの空間の「境」を示していた可能性があると考えられているため、第8次調査では、戦国時代の礎石(そせき)建物跡の展開と、これまでの調査で見つかっていた石組水路の延形を明らかにすることを目的としました。

調査の結果、4折に折れ曲がった石組水路が見つかり、この遺構は、過去の調査で食い違った位置で見つかった石組水路と、つながっていたことが明らかになりました。その他にも、緻密に敷き詰められた砂利敷(じゃりじき)や玉石敷(たまいしじき)、砂利敷を伴う礎石建物跡などが見つかりました。

今回見つかった石組水路は、江戸時代初期とみられる礎石建物跡を避けるようにありました。史跡の発掘調査は原則、遺構を壊すことができません。この礎石建物跡を掘り下げて、戦国時代の調査をすることはできませんが、戦国時代にも、この場所には重要な遺構があったと推測されます。

《解明に向けて集まるピース》
令和6年度は、第8次調査から継続して第9次調査を実施しました。その結果、石組水路の他、かわらけを大量に廃棄した土坑(どこう)など戦国時代の遺構が見つかっており、これらは御用米曲輪の戦国時代の空間を解き明かす鍵となる可能性があります。

【WEB ID】P39074
問い合わせ:文化財課
【電話】0465-33-1718

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