〔~身近な地域の問題解決に向けた、探究的な学習の取り組み~〕
小田原に実在するさまざまな問題に対し、これまで各教科で学んだことを統合的に働かせながら探究的・創造的に解決を目指すのが「小田原版STEAM(スティーム)教育」です。より良い地域社会を創る力(社会力)を育てる取り組みを始めています。
◆「小田原版STEAM教育」の流れ(イメージ)
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地域の問題と出合う[困ったな]
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問題の解決に向けて考える
〈小田原をフィールドに、生徒が身近な実社会の諸問題と出合う。〉
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試行錯誤する
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考えた解決方法をアウトプットする[生徒][地元企業など]
〈問題の解決のために教科で学んだことを統合的に働かせながら探究的・創造的な活動を行う。〉
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振り返り、自分を見つめる[役立つって…?]
〈より良い社会を実現しようとする資質と能力を育てる。〉
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《「小田原版STEAM教育」とは》
「STEAM教育」とは、科学、技術、工学、芸術、数学の5分野の頭文字から成る名称で「実生活・実社会に存在する事象などを対象として課題を設定する」また「問題発見や課題の解決に生徒自らが各教科で学んだことを統合的に働かせながら、探究の過程を展開する」教科横断的な教育です。
本市では、小田原が誇る豊かな資源を体感しながら、実在する問題の解決を地域の人と連携して学ぶことができる教育の具体的な実践例として、令和4年度から次の4つを目標とし「小田原版STEAM教育」を進めています。
・小田原に実在する問題に向き合う
・市教育研究所の共同研究で構築した探究のプロセス(上図)を経験する
・小田原の企業や団体と連携して学ぶ
・小田原の目指す社会力を身に付ける
「小田原版STEAM教育」では、一人一人の問題解決の思考を大切にしています。生徒が「問題だ」「解決したい」という意欲を持ち、探究的な学びのプロセスを繰り返すことで、思考過程の習得を目指しています。
《これまでの取り組み》
令和5年度はモデル校1校で、令和6年度からは市内中学校で順に施行しています。例えば「農家が作物の良さをPRするためのアイデア」や「近隣の商業施設の困り事を解決する方法」などをテーマに取り組んでいます。
地域に実在する問題を解決するために探究活動を進め、地元企業や団体に解決策を提案したり、地域の人たちと共に実行したりすることで「社会とつながる自分」を自覚できるようになりました。
《これからの「小田原版STEAM教育」》
「小田原版STEAM教育」という理念を取り入れることで、生徒はこれまで気付かなかった問題に触れ、地域の声を耳にすることで地域の良さを知ることができています。今後も引き続き、各教科で学んだことを統合的に働かせながら、身近な地域の問題を解決し、より良い社会を実現しようとする資質・能力の育成を目指します。
◆[令和5年度実践事例in城山中学校]
伝統工芸の知名度を上げるにはどうしたら良いかな?
地域にどのような課題があるか、生徒が考えたところ「小田原の伝統工芸の後継者のなり手が少ない」という問題を見つけました。そこで、風鈴などの鋳物を製作している柏木美術鋳物研究所の柏木さんからお話を聞き「新しい製品を作ろう」「知名度を上げるためには」の二つを課題として設定しました。生徒たちは、班ごとに課題を一つ選択し、情報を学習用端末で調べたり、鋳物に対するイメージなどを身近な人にインタビューしたりと、知名度が上がらない理由を探りました。
「生活の中で使える商品が少ないからでは」「鋳物の音を聞いたことがない人が多いのでは」「季節が限られる商品が多いのでは」など、さまざまな原因の仮説を立て「代々受け継いで日常生活の中で使えるものを製作する」「子どもや若者にも受け入れられる物を製作する」「どこでも買えるようにする」「お祝い用などの商品を増やす」など考えた解決策から、実際に鋳物の移動販売屋台や箸置きなどのアイデアの試作品を柏木さんに提案。その提案に対し、実施する場合の金銭面などの新たな問題も教えてもらいました。
◆生徒の声
・自分たちで鋳物の新しい製品を考えて作ることができて楽しかった。アイデアから試作品を作成するとき、美術の授業で習ったことを生かせた。
・最初に簡単なアイデアとして考えていたものが、段々と深くなっていった。班のみんなと考えられて良かった。
・もっと時間があって突き詰めれば、絶対良いものができていた。
・満足はしていない。もう少し詳しく調べてもっといいものにしたかった!でも、班全員で協力して作ったから、そこは満足している。すごく楽しんで真剣に取り組めた。
・今まで、用意された課題に取り組んだことはあったが、今回の学習では、相手の思いをよく聞いて、それを実現させるようなことができた。
【WEB ID】P36920
問い合わせ:教育指導課
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