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自治体の皆さまへ

[特集]防災に備えよ(4)

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神奈川県平塚市

■防災を楽しく学ぶ
6月4日、須賀地区で市災害対策課が「防災さんぽ みなとをのんびり編」を開きました。今回は関東大震災がキーワード。歴史的・観光的視点で、日常に紛れた防災スポットや災害伝承碑などを巡りました。参加者は、「ずっと平塚に住んでいるのに初めて知ることばかり。気になっていた津波のリスクや、家ですぐにできる対策が分かって良かった」と振り返りました。
令和2年に始まった「防災さんぽ」には初回から、ひらつか防災まちづくりの会がガイドとして協力しています。同会は平成15年に結成。専門家との勉強会や現地調査を繰り返し、市民主導の防災啓発活動に役立てています。同会に防災のためにまちを歩く際のポイントなどを聞きました。

◇歩いて分かる地域の弱点
「20年前から自治会などと一緒に『防災まち歩き』を続けています」と話すのは会長の山田美智子さん。防災意識が高まり、独自の逃げ地図作りなどにつながった地域もあるそうです。「家族や地域の人と家の近くを歩くだけでも、いつもの道の弱点が見つかります。平たんに見えるのに、実はくぼ地だった場所も多いですね」と山田さん。「水害や津波で浸水しやすいから、どこに退避すべきか」など、弱点が見つかれば、避難行動を考えるきっかけになると話します。
また、同会が「防災まち歩き」で意識しているのが、地形の成り立ちや歴史を楽しく学んで地域を好きになってもらうこと。「地域への愛着が、住み続けるための防災を考えることにもつながると思うんです。地域を昔から知っている人と歩くと興味深い話が出てきて面白いですよ」。

◇特性からリスクを知る
「まずはどういう特性の場所に住んでいるのかを知ることが大切です」と山田さん。事前にどんな危険があるかを確認してから歩くことを勧めます。「災害のリスクを知った上で、なぜその被害を受けやすいのかを自分で考えながら現地を歩くことで理解が深まります」。
平塚は山と川や海が作った地形に分けられます。例えば、川が作った地形は比較的軟弱地盤が厚く、地震の際に液状化のリスクが考えられます。
どのような自然災害のリスクがあるのかは、津波・洪水・高潮など、市が災害別に作っているハザードマップで確認できます。リスクを正しく把握するためには、各ハザードマップを組み合わせて見ることが大切です。また土地の成り立ちを知るには、博物館の地盤図も参考になります。

◇想定外を考える
現在の津波ハザードマップは最大津波9・6メートルを想定しています。もし想定より大きい津波が来ても、マップ上で浸水しないとされる区域は安全なままでしょうか。「ハザードマップは安全マップではありません。ハザードマップを見て『自分の家は大丈夫』と考えることを終わらせずに、想定外をシミュレーションしてほしいです」と山田さんは呼び掛けます。「地形の特性から考えて、どのように水が流れてきて、被害を受ける可能性があるかなど、想定外の避難行動も考えておくことが命を守ることにつながります」。
また市が呼び掛けている通り、避難は徒歩です。「想定外の津波に、とっさに車で高台に向かって、大渋滞に巻き込まれるなんてことがないようにしたいですね」と続けます。

◇防災活動を手伝います
自治会や子ども会などの防災まち歩きや防災教育などを手伝います。

問合せ:ひらつか防災まちづくりの会の山田
【電話️】31-2161

◆記憶を風化させない
震災を経験した人から同会がよく聞くのが、「まさか自分の家が……」「備えておけば良かった」「地域の人を知っておけば良かった」という言葉だと言います。山田さんは「過去の震災からたくさんの教訓があるのに、時間がたつと人は意識が薄れてしまうんです。だからこそ、続けやすい形で防災活動をして、楽しみながら振り返ることが大切です」と話します。震災を振り返る方法はさまざまです。「市内に三つある震災に関連した石碑を巡ったり、震災時の写真を現地で見比べたり、歴史的に振り返るのも良いですよ」と楽しみ方を提案します。
大きな地震は確率に関係なくいつ起きるか分かりません。関東大震災から100年という節目に、過去の教訓から学び、減災につなげましょう。

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