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[特集]震災に備えよ(3)

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神奈川県平塚市

■避難行動を考えよう
地震発生直後の被害を防いだら、慌てず次の行動に移りましょう。関東大震災以降に起きた、大きな地震の教訓に触れつつ、避難行動につながる備えなどを紹介します。

◇避難中に起きうる火災
揺れが収まってから避難を開始するまでにすべきことの一つに、「ブレーカーを切る」があります。地震後に電力が復旧した際に、通電火災を防ぐための対策です。倒れたり破損したりした電気機器に再送電されることで発熱・発火して火災が起こります。この火災が注目されたのは、阪神・淡路大震災。出火原因の判明した火災の6割以上が電気機器によるものでした。
国は有効な対策として「感震ブレーカー」の設置を推奨しています。大きな地震が発生すると、自動的に電源を遮断してくれる製品です。平塚市では平成29年度から簡易タイプの感震ブレーカーを1個500円で配布しています。

※阪神·淡路大震災
平成7年1月17日午前5時46分に発生した、兵庫県の淡路島北部を震源とする地震。マグニチュードは7.3で、国内で初めて震度7が観測された。死者・行方不明者は6,400人を超えた。

◇在宅避難という選択肢
避難とは自分の身の安全を確保すること。避難先は市が開設する避難所だけでなく、自宅や知人の家なども含まれます。「必ずしも避難所で過ごす必要はありません」と話すのは、市災害対策課の大平啓太主査。余震による破損のおそれがなく自宅が安全であれば、在宅避難という選択肢があります。ただし高齢者の一人暮らしで熱中症の危険があるなど、周りの助けが必要な場合を除きます。
「地震の後にどこで生活するかは、自分で判断することになります。被害状況に応じた避難場所を、離れて暮らす家族のことも含めて、事前に考えておきましょう」

◇自助·共助でつなぐ時間
災害時、行政からの本格的な支援(公助)が始まるまで約3日はかかるといわれています。市は各地域の被害状況を把握し、被災した全員をケアする体制作りをします。そのため公助の手が届かない時間を、自分の備えや地域との助け合いでつなぐことが重要になってきます。過去の災害でも自助・共助で救われた命が多いです(下グラフ)。「近所の協力でできることが増えます。知識がない人だけでの救助などは二次災害の危険があるので、無理のない範囲で近所に目を向けてもらえたらと思います」と大平主査。災害時に近所と助け合える関係を作るために、時々で良いので地域のイベントなどに顔を出すことを勧めます。


内閣府の平成26年版
「防災白書」

◇市と地域のパイプ役
避難生活では、正しい支援情報を得たり相談したりできる場所を知っておくことも大切です。災害時、市が各地域の困りごとを把握するパイプの一つが避難所です。「市は避難所にいるいないにかかわらず、被災した方全員を支援します。避難場所に関係なく、遠慮せずに困りごとを伝えてください」と呼び掛けます。市社会福祉協議会の災害ボランティアセンターなども頼れる場所です。
また受けられるサポートを事前に知っていれば、困りごとへの対応がスムーズです。市が7月に作成した「被災者支援ハンドブック」では、災害時に使える補助金制度などをまとめて確認できます。

◆平塚で起きうる混乱
近い未来に起こるといわれている首都直下地震や南海トラフ地震。平塚では震度5強~6弱の揺れが予想されます。平塚の被害は、家が倒れるなどのダメージはそこまで大きくはないと考えられていますが、水道やガス・電気、医療といった社会インフラへの大きな影響が見込まれます。しかし、国の支援が優先されるのは、より大きな被害を受けた地域です。「社会インフラが混乱する中での生活が一定期間見込まれる平塚では、特に市民のみなさんの協力が必要不可欠になってきます」と大平主査は力を込めます。
また地震は家族と別の場所にいる時に起きる場合もあります。「家族との安否確認の方法やそれぞれの避難行動など、家族で話し合っておくことも大切です」。

◇避難生活をイメージ
見込まれる混乱に対応するためには、備えがなければいけません。「平塚は関東大震災以降、人が亡くなるような災害を経験していません。災害を自分ごととしてイメージしづらいと思うんです」と大平主査。まずは避難生活の一部を切り取って過ごす「防災キャンプ」などで、楽しんで必要な備えを考えることを提案します。「断水・停電など、水や電気がない状況はイメージしやすいと思います。その状況を再現して1日過ごしてみてください。その生活が一定期間続いたら、と考えると自分にとっての困りごとが見えてくると思います」。食料や水の他、非常時にすぐに入手できない常備薬などの備えも考えてほしいと言います。
首都直下地震や南海トラフ地震は、平塚でも計画停電などの影響があった東日本大震災よりも震源地が近いのです。そのため、12年前に平塚が経験した状況をはるかに超える、社会インフラの停止や混乱も覚悟した方が良いと言えます。大切だと分かっていても後回しにしがちな震災への備え。未然に防げる自分にとっての困りごとを考え、災害時への具体的な備えにつなげましょう。

※東日本大震災
平成23年3月11日午後2時46分ごろに発生。三陸沖の宮城県牡お鹿じか半島の、東南東130キロメートル付近を震源とする地震。最大震度7、国内観測史上最大となるマグニチュード9.0を観測した。死者・行方不明者は約2万3,000人。

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