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[特集]災害時、水洗トイレは流せない?健康を守るトイレ対策(3)

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神奈川県平塚市

◆排泄は待ったなし
過去の震災では、発災3時間以内に約4割の人がトイレに行きたくなったという調査結果があります。流せない水洗トイレに排泄してしまうと、便器は排泄物で満杯になります。災害時にすばやく対応するには、建物内のトイレに携帯トイレを取り付けるのが効果的。携帯トイレを用いた初動対応は、排泄ニーズを満たすとともに衛生的な環境を守ります。
災害時にトイレが使えなくなることで引き起こされる問題は「災害関連死」「心理的負担による不和」「感染症」の三つです。災害時のトイレ問題を繰り返さないためにも、まずはトイレの不便・不衛生が、命と尊厳に関わる問題であると理解することが大切です。

◇切れ目のないトイレ支援
災害時は、切れ目なくトイレを確保する必要があります。仮設トイレなどの配備には時間を要することがあるので、まずは便器に取り付けるだけの携帯トイレや簡易トイレで対応します。次にマンホールトイレを立ち上げ、最後に仮設トイレなどを調達する、といったように時間経過に応じて複数タイプの災害用トイレを組み合わせることが求められます。平塚市のように複数タイプの災害用トイレを備えておくことは効果的です。車中避難者や支援者へのトイレ対応としても、マンホールトイレや仮設トイレは役に立ちます。

◇家庭での備えが重要
個人の備えも重要です。携帯トイレは、さまざまな種類があります。使いやすさなど、一度試しておくと、いざというときに使う心のハードルが下がるのでお勧めです。
携帯トイレの他に、衛生・安全のための防災用品も必要な備えです。具体的には、トイレットペーパーや手指衛生を保つための消毒剤・ウェットティッシュ、停電時にトイレを明るくする照明(両手がフリーになるもの)、使用済みの携帯トイレを一時保管するためのふた付きの容器などがあります。

・日本トイレ研究所
トイレから環境・文化・教育・健康を考え、全ての人が安心してトイレを利用でき、共に暮らせる社会づくりを目指し活動するNPO団体。災害時のトイレ調査や研修、子どもたちのトイレ・排泄教育、まちのトイレのバリアフリーなどの活動を柱にしながら、トイレ環境はどうあるべきかを考えて活動している。
市災害対策課のYouTubeチャンネル「防災ひらつか」(2次元コード)でもコラボ。
※2次元コードは本紙をご覧ください。

◆自分と家族のために
今回は、災害時に活躍する家庭の備えとして、(1)身近な場所で購入できるトイレと、(2)身近な物で作れるトイレを紹介します。

(1)簡単に使える携帯トイレ
携帯トイレは市災害対策課も備えを勧めています。ユニディ湘南平塚店(久領堤1-2)・コーナン平塚市役所前店(浅間町10-12)・ロイヤルホームセンター湘南大磯(大磯町高麗(こま)3-4-17)などの店舗やインターネットで購入できます。
ユニディ湘南平塚店の東田真弥さんは「携帯・簡易トイレは、震災が起きると特に売り上げが伸びます。今年の能登半島地震の後も買う方が多かったです」と話します。在庫状況などは、各店舗をご確認ください。

(2)低コストで安定感も抜群 ダンボールトイレ
自治会の防災訓練や市内外のイベントなどで活躍するボランティア団体、女性防災クラブ平塚パワーズ。女性の視点を生かした防災啓発活動を30年近く続けています。
個人でできるトイレ対策として、同団体は「ダンボールトイレ」を勧めます。「ダンボールトイレは重さに強いんです。体重100キログラムある方が座っても大丈夫。安心して座って排泄(せつ)できるように作り方を考えました」と話すのは同団体副会長の木村美江子さん。「身近にある物だけで作れるので低コストで用意できます」と利点を語ります。

◇被災地から安心の声
ダンボールトイレの現在の形が完成したのは平成22年。同団体は平成23年3月6日に宮城県仙台市の防災イベントに参加して、トイレも紹介していました。仙台市は11日に起こる東日本大震災の前震の影響で、すでにトイレが使えない状況でした。そのためダンボールトイレへの関心はとても高かったそう。避難生活をする方はダンボールを使った応急トイレを作ったものの、不安定で高齢者が怖がって使ってくれないという悩みを抱えていました。「たくさんの人が展示に集まってくれました。実際に座って『これなら安心して使える』と喜んでもらえましたよ」と振り返ります。
5日後に起きた東日本大震災。「安心だと知ってもらえたトイレを被災地で作ってほしい」とすぐに行動を起こしました。「平塚市の災害対策課から仙台市に作り方をメールで送ってもらったんです。被災地では作り方を印刷した紙を避難所に配って、活用してくれたそうです」。被災地には、支援物資が入ったダンボール箱が多く届くので、災害時でも材料がそろうのもこのトイレの強み。「応急トイレとしてもすぐに作れます。もちろん自宅の備えとして作っておくのもお勧めですよ」。
災害はいつ起こるか分かりません。自分や家族の健康を守るため、自分ができるトイレ対策をしておきましょう。

◇作ってみよう ダンボールトイレ
材料:
・ダンボールA(横45・縦30・高さ30センチメートル)・B(横30・縦20・高さ30センチメートル)
・補強用ダンボール(雑誌や古着でも代用可)
・粘着テープ、ポリ袋大(90リットル)・小(40リットル)
各サイズは目安。

作り方
(1)Aを横向きに置き、Bの大きさに合わせた印を付ける。短い一辺を残し、5ミリメートル内側を切る。
(2)Bのふた部分は粘着テープで固定。(3)の後、奥に補強用ダンボールを一つ入れてからAに入れる。
(3)補強用に用意したダンボールを粘着テープで巻き、AとBのすき間1〜4の大きさ合わせた補強材を作る。Aの便座のふた部分も水に弱いのでテープで補強する。
(4)粘着テープでAの側面を固定。ポリ袋大を全体にかぶせ、ポリ袋小には裂いた新聞紙などを入れ使う。ペット用の砂もお勧め。1回ごとに捨てるので衛生的。

YouTube(2次元コード)からも見られます
※2次元コードは本紙をご覧ください。

問い合わせ:災害対策課
【電話️】21-9734

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