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緑区は、その名のとおり“緑豊かで自然がいっぱい”というイメージを持っている方も多いと思いますが、中山・上山の川沿いに、横浜北部の内陸工業の一端を担う地域が古くからあり、グローバルに活躍する企業が多数あることをご存じでしょうか。今回の特集では、「横浜北工業会」※のご協力のもと、緑区の地域に根差した「ものづくり企業」にフォーカスし、緑区の更なる魅力をお伝えします。
※横浜北工業会:企業の発展を目的とした横浜市工業会連合会を構成する地域工業会の一つで、港北・緑・青葉・都筑の4区に及ぶ多業種の法人・個人の経営者団体200者以上で構成
■アジア物性材料 株式会社(横浜市緑区中山二丁目)
1958年東京都大田区で創業 1960年緑区へ移転
◇主力製品について教えてください
高純度レアメタル製品の「セレン」で、乳がんの検査で使用されるX線センサーに使われ、この分野で世界的なシェアを誇っています。最近ではインドのダイヤモンド原石の不純物を検査する工程で、当社の高純度セレンが広く使われています。
◇脱炭素への取組について教えてください
希少金属は有限な資源です。創業よりメーカーから発生した金属含有スクラップから希少金属を取り出し高純度材料として再利用するなど、リサイクル事業にも力を入れ、環境負荷の低減に取り組んでいます。
「時代の変遷により新たな用途が生まれ、それに応じたものづくりで、世の中の要望に応え社会に貢献していきます。」(取締役総務部長 込宮(こみや)さん)
「半導体や医療・エレクトロニクスといった分野に欠かせない高純度レアメタル製品。私たちが健康で豊かな生活を送る背景に、世界的に活躍するアジア物性材料の存在があることを知りました!」(緑区キャラクター「ミドリン」)
■株式会社 シンメイ(横浜市緑区寺山町)
1958年東京都大田区で創業 1965年緑区へ移転
◇主力製品について教えてください
創業当時はアルミ箔(はく)からスタートし、現在は紙製のトレーやパックが主力です。中でも「おりがみカップ」は大手レストランチェーン店のテイクアウト用容器に使用されるなど、機能性・デザイン性を兼ね備えた製品を作っています。
◇緑区に本社を構えることのメリットについて教えてください
新製品の開発試験を行い、その後、他の工場で量産に入るなどしています。取引先の多い首都圏へのアクセスが良い緑区に拠点を構えることは、顧客の相談に応じながら製品開発を行えるのでメリットが大きいです。また、国内外に多数の工場を持つことで、災害時でも生産を継続できることが強みです。
「新製品を生み出す際は、トライアンドエラーをモットーに、また、社会課題であるプラスチック製品とどう向き合うかを考えています。子どもたちには、逃げてもいい、立ち止まってもいい、そういうことが人生の底上げにつながる、ということを伝えたいです。」(代表取締役社長 湯川(ゆかわ)さん)
「湯川社長は『事業を濁らせない!』と現代社会の変化のスピードに乗りながら、独自のスタイルで各事業を推進されています。シンメイの製品はコンビニのスイーツやお弁当の容器など、身近なものばかり。今後もどんなスタイルを見せてくれるのか楽しみです!」(ミドリン)
■日東化成工業 株式会社(横浜市緑区中山二丁目)
1953年川崎市中原区で創業 1961年緑区へ移転
◇主力製品について教えてください
「金属石鹸(せっけん)」です。「石鹸」と名前にありますが、手を洗うせっけんとは異なり、せっけんの水になじむ部分を化学反応によって金属分子に置き換えた化合物です。金属石鹸にはいろいろな機能がありますが、プラスチック製品や医薬品・化粧品などを製造する際に、製品を型から外れやすくしたり(離型性)、表面を滑らかにする(潤滑性)ために使用されています。世界中の化学メーカーの多種多様なニーズに独自技術で応えられるよう努めています。
◇脱炭素への取組について教えてください
世の中のさまざまな製品を作る過程で、金属石鹸の「ものを加工しやすくする力」が作用し、生産ラインの省エネ化につながっています。また、プラスチックをリサイクルする過程でも金属石鹸は多く使用され、リサイクルにも欠かせないものとなっています。
常務取締役総務部長 土屋(つちや)さん
「土屋部長は『これからも技術力をますます磨いて環境問題に貢献できるよう努力していきたいですね』と言いながら、省エネや資源の有効活用について分かりやすく教えてくれました。(ミドリン)
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