◆都筑の領主たち
横浜市歴史博物館 仲泉 剛(なかいずみつよし)
都筑区にお住まいの皆さんは、江戸時代どんな領主がこの辺りを治めていたのかご存知でしょうか。
試みに、区域の領主分布図を作成してみました。これをみると、全体的に幕府領(ばくふりょう)・旗本領(はたもとりょう)・増上寺領(ぞうじょうじりょう)が複雑に入り組んでいる様子がうかがえます。
関東の場合1つの村が複数の領主によって支配される「相給村落(あいきゅうそんらく)」が多くありました。都筑区では、1給の村から10給を超える村が存在していました。区域で一番相給数が多い大棚村(おおだなむら)は、なんと幕府代官1人と旗本12人の合計13人の領主によって支配されていました(13給)。このように複数の領主によって支配を受ける地域は「非領国地域(ひりょうこくちいき)」と呼ばれています。
現在、区域に残る領主ゆかりのものは多くはありませんが、勝田村(かちだむら)と牛久保村(うしくぼむら)の一部を支配した旗本・久志本(くしもと)氏は、勝田村の最乗寺を菩提(ぼだい)寺としたため、現在も同寺に久志本家の墓があります(通常非公開)。
◆都筑区の領主分布図(17世紀半ば)
◇旗本領
・牛久保村2・勝田村11・大熊村2・川向村8・佐江戸村2
◇増上寺領
・川和村1
◇幕府領・旗本領の相給
・山田村11・大棚村13・折本村3
◇旗本領・増上寺領の相給
・茅ヶ崎村2・東方村2・池辺村5
※数字は相給数
『武蔵田園簿(むさしでんえんぼ)』を使用して作図。なお、都筑区域には荏田村・吉田村・新羽村の一部が含まれるが、村の中心部はそれぞれ青葉区(荏田村)と港北区(吉田村・新羽村)に含まれるのでここから除いている。
※図は本紙をご覧ください。
問合せ:横浜市歴史博物館
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