◆江戸時代のセンター北エリア
横浜市歴史博物館 小林紀子(こばやしのりこ)
博物館のあるセンター北駅周辺は、商業施設やマンションが立ち並ぶ港北ニュータウンの中心エリアのひとつですが、江戸時代はどのような場所だったのでしょうか。江戸時代、このエリアは大棚村という村で、北は牛久保村、東は吉田村・山田村、南は勝田村・茅ケ崎村、西は荏田村、石川村に接していました。江戸時代後期の地誌『新編武蔵風土記稿』によれば、大棚村は「山林高低」がある地形で、畑が多く水田は少なかったようです。村内には「相州道」(矢倉沢往還)と「中原道」(中原街道)が通り、早渕川が流れていました。
写真は江戸時代の大棚村の絵図です。村の東には中原街道、西には矢倉沢往還がそれぞれ朱色で描かれています。早渕川の近くは平地で田畑が集まっていますが、北に行くにつれて木や丘が描かれ、かつては山林や高低差のある地形だったことがうかがえます。センター北駅のあたりも丘や林が描かれていますね。
一方、(1)~(5)の寺院や矢倉沢往還・中原街道・早渕川などは現在とほぼ同じ位置にあり、村名も地名として残っています。現在も発展し続けているセンター北エリアですが、絵図を頼りに江戸時代の痕跡を辿って歩いてみると、新たな発見があるかもしれません。
大棚村絵図(横浜市歴史博物館所蔵、筆者加筆)(本紙参照)
1センター北駅 2大塚遺跡 3横浜市歴史博物館 4杉山神社 5吾妻山公園 6勝田橋
(1)清林寺 (2)龍福寺 (3)慈眼寺 (4)東善寺 (5)老馬鍛冶山不動尊
問合せ:横浜市歴史博物館
【電話】912-7777【FAX】912-7781
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