■第六十七回 歳末に行われた「仏名会(ぶつみょうえ)」の本尊「三千仏図」
県立金沢文庫 学芸員 松谷 芙美(まつや ふみ)
仏名会とは、過去・現在・未来の三世にわたる諸仏の名号を唱え、六根(ろっこん)の罪障(ざいしょう)を懺悔(ざんげ)する法会です。つまり、修行僧でありながら、意に反して、仏戒(ぶっかい)に違う行いをしてしまったことを反省し、その罪を解消するもので、12月19日頃を初日とし三日間行われました。宮中で歳末に行われる年中行事として、枕草子にも登場します。その本尊として用いられたのが三千仏図です。
称名寺に伝わる「三千仏図」は、軸木から、年紀や絵師名、称名寺の隣にあった海岸尼寺(かいがんにじ)の什物(じゅう)であったことが判明します。橙色、淡緑等の中間色を用いた三千余りの仏に加え、描表装の牡丹唐草も華やか。年の暮れに尼寺を飾った大幅です。
◇特別展「運慶―女人の作善と鎌倉幕府―」
日時:11月29日(金)~2月2日(日)9時~16時30分(入館は16時まで)
費用:一般800円(700円)、20歳未満・学生600円(500円)、65歳以上200円(100円)、高校生100円
※中学生以下、障害者は無料
※( )内は20人以上の団体料金
休館日:毎週月曜日(ただし1月13日は開館)、12月28日(土)~1月4日(土)・14日(火)
問合せ:県立金沢文庫(金沢町142)
【電話】701-9069【FAX】788-1060
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