■第六十五回 中世鎌倉にひろがる喫茶文化
県立金沢文庫 学芸員 貫井 裕恵(ぬくい ひろえ)
日本文化を代表する「茶の湯」。その成立以前より人びとは、茶を日常的に愛飲し、生活の楽しみとしていました。
下の写真は、金沢貞顕(かねさわさだあき)が六波羅探題を務めていた息子の貞将(さだゆき)に宛てた手紙です。この中に見える「から(唐)物茶のはやり候事、なをいよゝゝまさ(勝)りて候」という一節は、唐物(中国からの舶来品やそれに類する文物)と喫茶(宋式喫茶)が、当時の鎌倉で流行していたことをうかがわせます。
鎌倉時代、中国の先進的文化に憧れを抱いていた鎌倉の人びとは、こぞって貿易船を派遣し、舶載された唐物を求め、喫茶の習慣を取り入れつつありました。こうした風潮が、南北朝時代における唐物趣味の茶会の隆盛につながっていったのかもしれません。
■特別展「茶の湯以前―中世鎌倉の茶―」
日時:7月26日(金)~9月23日(休・月)
費用:一般500円(400円)、20歳未満・学生400円(300円)、65歳以上200円(100円)、高校生100円、中学生以下、障害者は無料
※( )内は20人以上の団体料金
休館日:毎週月曜日(ただし8月12日、9月16日・23日は開館)、8月13日(火)、9月17日(火)
問合せ:県立金沢文庫(金沢町142)
【電話】701-9069【FAX】788-1060
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