■みこしパレードの思い出
10月の最終日曜日に、恒例のみこしパレードが行われた。今年は天候にも恵まれ、50基以上の神輿と山車のパレードは圧巻だった。「セイヤ、セイヤ」の掛け声や、お囃子の音色は、人々を元気にする事を改めて実感したが、道行く人々の明るい笑顔を見ながら、5年前の出来事を思い出した。
その日、いつものように桟敷席で神輿を迎えていると、ガラの悪そうな半纏姿の男が近寄って来た。
久しぶりに会う幼馴染の親友だった。「おう!元気か?」と聞くと、「イヤ、実は、癌が見つかってさ、今年中って言われたよ」との返事。一瞬、周囲の音が消え、頭が真っ白になり、「本当か?」としか返せず、それ以降、誰に会って何の挨拶をしたか全く記憶がなくなった。公務終了後、彼の自宅に駆けつけると、何カ月も体調不良であったが医者嫌いが災いし、漸く病院に行った時には、手の施しようがなくなっていたとの事。若い頃から、いつも私の事を心配し、傍に寄り添い、応援してくれた彼に、何もしてやれない自分がただただ情けなく、かける言葉が見つからなかった。
今でもパレードの度に彼の影を追ってしまう。もうすぐ迎える命日には、今年も酒をお供えしながら「飲み過ぎるなよ。」と声をかけてこようと思っている。
横須賀市長
上地 克明
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