▼「障がい」という枠組みをなくせたら
藤村智明さん(43歳)
NPO法人ともに会シェーン海老名勤務。障がいのある人に就労の機会と生産活動の場を提供している。
▽その人の「得意」を生かして将来の目標を見つけるお手伝い
障がいのある人が就労する事業所で、製品作りの支援をしています。ここで作った製品は、市場で販売される商品の一部分となります。例えば、商品に同封される説明書や梱包(こんぽう)用の段ボールなどです。その人が得意なことに取り組めるように作業を細分したり、一人一人に合わせたマニュアルを作成して、スムーズに取り組めるよう支えたりしています。
障がいなどの影響で自分の可能性を狭めてしまって、将来を思い描けない人もいるかもしれません。就労の機会を提供することで可能性を広げ、目標を見つけて歩き出すお手伝いができたらと思っています。
▽タイミングも大切「個性」を尊重したコミュニケーションを
精神障がいを持つ人の中には体調の波が不安定な人もいます。行動・発言・表情などから今はどのような状況なのかを予測しながら、タイミングも大切にしてコミュニケーションを取ることを意識しています。
障がいの有無にかかわらず、その人の個性を尊重し、その人に合わせたコミュニケーションが重要だと理解して支えることが大切だと思っています。
▽横のつながりを深めてどこからでも支援できる体制を作りたい
その人の特性を見て、今まで経験したことのないパソコン作業を勧めたことがあります。最初は敬遠していたのですが、日々作業に取り組むうちにパソコンに興味を持ち、「パソコンを使った仕事に就く」という目標を見つけることができました。「挑戦がこの人の人生を前向きにした」と実感した場面です。ほかにも、私が面接に同行した人が就職を決めた時、「この仕事をしていてよかった」と感じました。
障がいのある人は就職しても生きづらいことが多いです。社会のシステムから変えないといけないと思っています。今後は関係機関同士のつながりを深めて、どこからでも支援できるような体制を作りたいです。そして、いつかは社会から「障がい」という枠組みをなくせたらいいな、と思っています。
▼目標への道を一緒に 悩まず相談を
今井智詞さん(37歳)
ティーズ相談事業所代表。相談員として、発達に心配がある子どもを中心に幅広く障がい福祉サービスの調整を行う。
▽できるようになりたいことはどんなこと?目標達成に向けたアドバイス
生活の中で生きづらさを感じていることを聞き取り、適切な障がい福祉サービスを提案することや、問題解決までの計画を立てることなどが主な仕事です。保護者から相談を受けたら、実際にその子と直接関わって、特性を観察・分析します。「幼稚園を脱走してしまう」「座っていることができない」などの相談が多いです。その子ができるようになりたいことはどんなことなのかを聞き取って目標達成までの計画を立てたり、ふさわしい事業所を紹介したりしています。
▽勇気を出して事業所を設立 子どもたちにも夢を持ってほしい
以前、障がいのある人が利用する施設で働いていましたが、当時「利用者のためにこんなことがしたい」という思いがあっても環境が整っておらず、できないことがありました。「それなら勇気を出して挑戦してみよう」と、現在の事業所を立ち上げました。今は自分が本当にやりたかったことができているので、子どもたちにも自然と明るく接することができ、信頼関係の構築につながっていると思います。
今後も子どもたちのために何ができるか考え続け、夢を持って働いていきたいです。そして、福祉の仕事に興味を持つ人が増え、より多くの人を支えられる事業所に成長していきたいです。利用する子どもたちにも夢を持ってほしいと思います。
▽その子自身が何かに困っている温かく見守ってくれたら
子どもの発達や成長には個人差があるので、「自分の子は他の子と何か違うな」と感じることがあるかもしれません。時には、近所で困った行動をしている子どもを見かけることもあるかもしれません。でも、困った行動をしている子どもは、きっとその子自身が何かに困っているのだと思います。「がんばれ」という気持ちで、温かく見守ってほしいです。
子どもの特性で気になることがあったら、一人で悩まず、市の相談窓口や、事業所に相談してほしいなと思います。
問合せ:障がい福祉課
【電話】235-4812
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