■第33回坂道 前の坂
昔、坂に面した家の住民たちは、自宅の前にある坂を「前の坂」と呼び合っていたという。これが名称の発生源とされる。
坂は相模国分尼寺跡から程近い西側に位置し、写真が撮影された当時は両側に竹が茂り、森閑とした切り通しの面影を残していた。これまで竹の伐採や階段の敷設などの舗装をしたが、道幅には古くからの形跡がうかがえる。下水管敷設工事で掘削した時には、中世に造られたとみられる地下式坑も見つかった。現在は名称の元となった家や名はなくなり、坂名がこの場所の歴史を伝え続けるのみとなった。
撮影場所:坂下から撮影
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