皆さんは学芸員という存在を知っていますか?
町には、さまざまな職種の職員が在籍していますが、その中に学芸員として働いている職員がいます。
これから2か月に一回の割合で学芸員として勤務する職員が、それぞれの施設などでどのような仕事をしているのかを紹介していきます。
■学芸員ってなに?
「学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示および調査研究その他これと関連する事業を行う「博物館法」に定められた、博物館におかれる専門的職員」のことです。
「博物館」には細かい要件の定義がありますが、コラムでは、町の箱根湿生花園、森のふれあい館、箱根ジオミュージアム、郷土資料館、それに箱根関所を指すことにします。
学芸員は各施設で調査研究やそれぞれの専門分野で、箱根町のことを調べて、深い知識を伝える業務をしています。
◇学芸員の主な仕事内容
《資料の公開・展示》
展示されている資料の解説を行います。展示に関する説明や学習会、講演なども行います。
《箱根のことを調べる》
これまでに知られていないことを調べ、その成果を公開します。
《資料の収集》
展示や調査する資料を集めます。他館や個人所蔵のものを借りる場合もあります。
《教育普及》
子どもから大人まで幅広い年齢層を対象とした講座を実施します。
社会科見学や学芸員が行う自治学習出前講座などがあります。
《資料の整理・保存》
収集した資料の図録や目録を作ったり、管理のための整理をします。また必要であれば、保存や修復・修理をします。
■コラム 学芸員No.01
◇町の文化財をどうやって未来へ伝えるか
髙橋一公
技幹兼文化財係長(郷土資料館)
専門分野:民俗
博物館に勤務していて、これまでどう展示したら伝わるか、行事に参加してもらえるか、どんな本を書いたら読んでもらえるのかと考えてきました。
現在は、博物館の業務よりも文化財保護、特に天然記念物保護に関する業務をしています。国・県・町が指定した文化財(天然記念物を含む)を損なわれることなく未来へ伝えられるか、その手段を考えながら業務にあたっています。
国天然記念物「箱根仙石原湿原植物群落」のヨシなどの刈り取り実験、町指定の「ハコネコメツツジ」や「ハコネサンショウウオ」の生育調査を毎年実施しています。
生育調査では長い年月をかけて調査することが重要なので、定期的な観察を続けています。
仙石原湿原のヨシなどの刈り取り実験では、毎年同じ場所のヨシやススキを刈り取り続けることで衰退させ、ノハナショウブをはじめとする湿原植物に日光が当たるようにするため、箱根湿生花園の学芸員らの助言を受けて、多くのボランティアの方々と共にヨシ等を刈り取っています。
仙石原は、秋のすすき草原が有名ですが、初夏のノハナショウブが咲く湿原にも多くの人が訪れるようにしていきたいと思っています。
◇これまでの活動記録
《冊子 ワンコインシリーズ》
「学芸員が伝えたい“箱根のガイドブック”」です。全20巻の町の記録を一つ書き留めることができました。
《企画展 箱根駅伝100回記念 箱根山を駆ける》
箱根駅伝が100回目を迎えたことを記念した企画展です。多くの方々に資料提供や展示への協力をいただきました。
《お正月飾り作り》
仙石原に伝わるお正月の玄関飾りを作る講座です。昔の暮らしの一端を紹介できる普及事業として毎年実施しています。
次回は2月号。森のふれあい館小野学芸員の予定です。お楽しみに!
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