■旅人たちの足跡残る悠久の石畳道 ー箱根八里で辿る遥かな江戸の旅路ー
江戸時代に大幹線として多くの旅人が歩いた箱根八里。
平成30年5月に日本遺産の認定を受けてから、6年目の今年、無事に再認定されました。
この魅力ある「箱根八里」を今後どのように活用し次世代に繋いでいくのでしょうか。
◇江戸時代初めから始まった
箱根旧街道「箱根八里」は、江戸時代の初めに徳川幕府が整備した東海道の一部です。標高10mの小田原宿から標高846mの箱根峠を登り、標高約25mの三島宿まで下る8里(約32km)の道です。
この道は「天下の嶮」と歌に唄われたように、東海道第一の難所とされていました。「箱根八里」のうち、小田原宿から箱根関所を通って箱根峠までを東坂と呼び、箱根峠から三島宿までを西坂と呼んでいました。
◇はじめは石畳ではなかった
さまざまな旅人たちが行き交った箱根旧街道ですが、当初は険しいうえに雪や雨の際には、すねまで泥につかるため竹が敷かれていました。
江戸時代の大幹線であった箱根八里は、繁華な往来を支えるため、延宝8年(1680)に2間幅(約3.6m)で石が敷き詰められて以降、石敷きの道となり当時の日本で随一の壮大な石畳となりました。
◇歩けば江戸時代の旅人になれる
神奈川県小田原市・箱根町、静岡県函南町・三島市を結ぶ旧東海道「箱根八里」は、江戸時代の街道旅を追体験するストーリーにより、2018年5月に『日本遺産』に認定されました。
日本遺産とは地域の歴史的魅力や独自文化を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより、地域の活性化を図ることを目的としています。
◇石畳だけではない
魅力箱根八里には多くの文化財があり、往時の旅を彷彿とさせる城下町や宿場町、一里塚、石畳、並木、関所、茶屋のすべてが日本で唯一現存しています。
■あなたも江戸時代を体験しよう!
箱根八里(小田原市ー箱根町ー函南町ー三島市間)は、前回の認定から26の文化財が追加となって合計43の構成文化財があります。
日本で唯一、江戸時代から現存されているものもあり、当時の旅を彷彿とさせます。皆さんも箱根八里を歩いて江戸時代を体験してみてください。
《主な構成文化財》
・小田原城跡
・かまぼこ通り
・小西薬局
・小田原梅干し
・小田原用水
・箱根旧街道(石畳)
・西海子坂
・甲石坂
・畑宿の集落
・寄木細工
・畑宿一里塚
・山中一里塚
・笹原一里塚
・錦田一里塚
・甘酒茶屋
・芦ノ湖と箱根神社
・箱根旧街道(杉並木)
・箱根関跡
・山中城跡
・富士見平の眺望
・鰻料理
・三島暦と三嶋暦師の館
・三島宿の湧水河川
・三石神社の時の鐘
・三嶋大社
◇箱根八里をちょっとだけ紹介
《小田原城跡》
江戸時代には小田原藩の藩庁があった。石垣と漆喰塗りの白壁などは城下町時代の名残りを伝え、小田原宿のシンボル的存在でもある。
《畑宿の集落》
江戸時代に宿場間に置かれた間の村のひとつ。宿泊はできなかったが、休憩ができる茶屋もあり険しい山道を行く旅人で賑わった。
《西海子坂(さいかちざか)》
箱根峠に向かう登り二町あまりの坂道。
かつて付近に西海子の木があったためその名がついたとされる。
《箱根旧街道の杉並木》
江戸時代に旅人を夏の日差しや冬の風雪から守るために杉を植えて並木を作った。400本あまりが街道の両側に連なる。
《箱根関所》
江戸時代、旅人の往来を監視するために箱根に置かれた。徳川幕府は、箱根山を江戸の防衛のために重視。厳重な取り調べが行われた。
《三島宿の湧水河川》
三島宿の中を流れる複数の小河川は、富士山の湧水を水源とする清流で、宿場の人々の生活用水などとして使われた。旅人もこの水でのどを潤した。
■「箱根八里」を伝える
町では、町立小学校6年生を対象に、箱根の歴史や文化について深く学んでもらうため、郷土資料館の学芸員を派遣して授業を行っています。
そのひとつが「わらじ体験」です。これは自分でわらじを作り、そのわらじを履いて「箱根旧街道」を実際に歩いてみるというものです。
この事業を始めたきっかけは、箱根にはせっかく国の史跡に指定された箱根旧街道があるのに、地元の方はあまり歩いていないため、子どもたちにこの箱根旧街道を活かした箱根ならではの歴史体験を通して、箱根の自然や歴史の豊かさ、すばらしさを知ってもらい、箱根に住んでいることを誇りに思ってもらうため始めたものです。
子どもたちにとって慣れない「わら」で、見たこともない「わらじ」を作ったり、また、険しい山道の「箱根旧街道」をそのわらじで歩いたりすることはとても大変ですが、昔の人たちの暮らしや、箱根の歴史を身をもって追体験するこうした機会は、きっと郷土の歴史や文化を考えるきっかけとなってくれるのではないでしょうか。
■大型イベントで「箱根八里」をPR!
◇ツーリズムEXPO ジャパン2024
・9/28(土)・29(日)
東京ビックサイトで行われた本イベントは、2日間で約11万人と多くの方が来場しました。旅の持つ有意義な時間を最大限に活用するためのさまざまな情報を交換できる場として開催され、ブースには箱根八里に興味をもった多くの方が集まりました。
◇日本遺産フェスティバルin極上の会津
・10/26(土)・27(日)
福島県会津若松市で行われた本イベントは日本遺産を通じて我が国の魅力や素晴らしさを発信し、日本遺産のブランド力の向上や認知度向上を図ることを目的に開催され、町も出展し箱根八里の魅力をPRしました。
■EXPO 2025 大阪・関西万博で「箱根八里」をPRします!
三島市と箱根町が共同で「箱根八里」の出展を行います。
皆さんも万博に足を運んだ際はぜひ立ち寄ってみてください。
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