今月は終活の特集です。
人生のこれまでと今、これからを考え今後の生き方への思いを明確にする終活は、長寿化や核家族化が進んだ今、特に注目されています。終活について知り、自分のために、そして大切な人のために取り組んでみませんか。
■過去を振り返り、今を見つめ この先の人生を考える終活
終活やエンディングノートの書き方などの講座を開催する稲さん。終活についての考え方や進め方、やっておきたいことなど、詳しく話を聞きました。
終活カウンセラー協会
認定終活講師
稲 惠美子さん(池子)
▽今の自分に向き合い、“生き支度”を考える終活
もしものときにどうしてほしいか、家族など残された人を困らせないためにはどうすればよいか、そして、これから自分はどう生きていきたいか。人生100年時代と言われる今、長い人生の中で一度立ち止まって自分と向き合い、自分の思いや希望を整理することが終活です。
医療や介護、葬儀にお墓、財産など、考えておきたいことは多岐にわたります。それを記録に残しておけば、自分の意思が伝えられなくなったとき、残された人はさまざまな判断がしやすくなり、本人の希望を尊重できることが心のよりどころにもなります。
また、これからやりたいことを考えるために、健康と財産の現状を把握しましょう。介護リスクを回避し健康寿命を延ばすことも終活です。終活は“死に支度”ではなく、最後まで自分らしくあるための“生き支度”ともいえます。
◆ちょっと早いかな?元気なときがスタートライン
死は必ず訪れるものですが、それがいつかは分かりません。だからこそ終活は、元気で判断能力があるうちに始めることが重要です。とはいえ、いざ始めようとしても何をしてよいか分からない人がほとんどです。
そこで、まずはエンディングノートを活用することがお勧め。終活でやっておきたいことが項目別に記入できる作りになっています。書くことで自分の現状を整理・把握しやすいので、「終活への不安を取り除くツール」ともいえるでしょう。
また、自分の過去を振り返る項目から、これから自分がやりたいことが見えてくることも。エンディングノートの記入がきっかけで自分の夢がはっきりし、「女優になる」「世界遺産を旅する」などの夢を実現させた人もいます。最近は、親に勧めるためにエンディングノートの書き方講座に参加して終活の大切さに気付き、ノートに記入を始めた40~50代の人も少なくありません。
市では、オリジナルの「ずしエンディングノート」を配布しているので、ぜひ活用してください。
*エンディングノートは、次ページで詳しく紹介しています。
◆100人いれば100通りの終活。人とは比べないで
人は、それぞれ歩んできた道のりは違うもので、誰でも私小説が書けるほどの人生があります。だから、100人いれば100通りの終活があって当たり前。決して他の人と比べず、自分のペースで進めることが、終活をより良いものにするためのコツです。
好きなことを楽しく続けるのが健康長寿の秘けつとも言われています。終活で自分の思いや希望、夢を見つめ直し、これからの人生を自分らしく生きていきましょう。
◆終活でやっておきたい7つのこと
1 介護や延命治療の選択
介護が必要になったとき、在宅や施設で過ごしたいなどの希望を。延命治療や緩和ケアの意思表示は必ず。
2 住まいの終活
相続や売却など、自宅を空き家にしないための対策が必要。家財や物の整理も、体力・気力のあるうちに。
3 判断能力がなくなる前の契約
本人に代わって各種事務手続きを行う任意後見契約や、死後事務委任契約など。認知症になると契約できません。
4 葬儀・お墓の希望
最近は葬儀の種類も増え、お墓を継承する・しないなど、新しい供養の選択もあります。
5 財産リスト
不動産、預貯金や生命保険、有価証券などの資産を明確に。その上で、自分が使うお金と、残すお金の整理を。
6 遺言書を書く
相続トラブル防止には、法的効力のある遺言書を残すこと。自筆証書遺言は法務局による保管制度もあります。
7 デジタル終活
パソコンやスマホ、ネットサービスなどの、IDやパスワードといった各種ログイン方法は必ず記録を残して。
問い合わせ先:社会福祉課
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