身の回りの人々や地域の環境、そして自分自身を信じ認めて前向きに生きる市民に、このまちで生きる意味を聞きました。
■認知症でもへっちゃらと、市民の力で
東逗子オレンジカフェ「あつま~る」代表 長谷川静さん(桜山)
沼間や桜山5丁目で開催の東逗子オレンジカフェ「あつま~る」。市民が主体となり、市や関係機関と協力して、認知症の人や家族、誰もが楽しめるプログラムを提供している。代表を務めるのが長谷川静さんだ。
▽認知症の知識不足への後悔が原点
実父と義父が認知症だった長谷川さん。当時は認知症に無知だったゆえ、亡くなった後に「もっとできることがあったのではないか」と自責の念に駆られた。それから認知症について勉強し、さまざまな資格を取得。また、認知症の非薬物療法として効果が認められている音楽療法も勉強し、病院や高齢者施設でギター片手に歌を歌うボランティア活動を始めた。
▽誰でも楽しめる居場所づくりを
コロナ禍の中、認知症の人や家族はどう過ごしているのだろうか。気持ちはいつもそこにあった。そんな中、東逗子駅周辺でオレンジカフェができないかという話が持ち上がる。長谷川さんが中心となり知り合いに声を掛け、市や地域包括支援センター、社協にも協力を呼び掛けた。東逗子駅前ふれあい広場で1回目の「ワンデイオレンジカフェ」を開催すると、50人以上が集まる盛況ぶり。皆の「次回はいつなの?」という声に背中を押されて続けるうちに、「あつま~る」と名称も改め月1回の定例開催となった。
認知症当事者の紙芝居や歯科衛生士による口の体操、生伴奏での合唱。加えて、月替わりの市民サークルのステージなど、盛りだくさんな内容で充実した時間を過ごせる。「市民の力が結集した場で、皆の喜ぶ顔を見られるのがやりがい」と長谷川さんの顔もほころぶ。
▽“認知症でもへっちゃら”なまちに
「アメリカや北海道にも住んだが、逗子はどこよりも市民力が高いと感じます。このまちを誇りに思っています」と話す。さらに、認知症への理解が高まり、周りが自然と手を差し伸べるような優しさにあふれたまちになればと願う。
「誰もが“認知症になってもへっちゃら”と思えるまちにしたいです」
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