これまでの延長線ではなく1.5歩先の未来で活躍する施設って?
■最終回再編で変わるもの・変わらぬもの
◇築54年の市役所の課題
最終回は行政の本丸、市役所に踏み込んでみたいと思います。先日、元職員からこんな話を聞きました。
「入庁当時(約40年前)は各階に会議室、最上階に食堂、地下には浴室もあって現場作業の後に汗を流したものです。分庁舎は1つ、廊下には観葉植物が置かれ、来庁した市民が休憩できる椅子もありました」
現在、会議室や食堂は事務室に、浴室は倉庫に変わっています。築年数も54年と県内の町村・政令市を除く16市で一番古く、市の発展とともにスペースが減ってきたことが分かります。
それなら増築しては?──敷地内にはすでに分庁舎が4つもあります。では高くしては?──高さ制限があるため高層棟は難しいのです。ほかにもプライバシーの確保、バリアフリーといった時代のニーズも増え、今や行政サービスを提供するのにギリギリの状況です。さらに震度6クラスの地震が発生した場合、災害対応などの業務を継続できる耐震性はありません。
同じように築49年の中央図書館、土地賃借料を払っている鎌倉生涯学習センターも含め、市の公共施設はさまざまな課題を抱えています。そのため市では、市役所移転や現在地の利活用をはじめとする公共施設の再編計画を進めています。
◇市民が主役の新たな拠点へ
さて、行政の本丸の市役所が深沢に移転したら、まちの中心・象徴も移ってしまうのでしょうか。行政サービスは?本紙10月号でもお知らせしたとおり、市庁舎現在地は駅前というアクセスの良さや好立地を生かして、市民の皆さんの活動や交流、居場所の中心となります。行政サービスは提供しつつ、誰でも利用できるオープンスペースを設けるほか、民間の活用を進めるなど未来に負担の少ない運営を考えています。
深沢で行政の執務、消防、災害対策をしっかりと支え、鎌倉は市民が主役の新たな場所へ。そして、大船も含めた3拠点でまち全体をけん引していきます。
最後に、副題にある「未来で活躍する施設」とは──くらしの中でちょっと楽しいことや新しいことに出会えたり、憩いの場になったり、いざという時にはまちを守る。穏やかで、笑顔が行き交う、そんな”あさって”を皆さんにお届けすることこそ、市が目指す未来の公共施設の姿です。
[公的不動産活用課・市街地整備課・広報課]
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