一般住宅から寺社・古民家再生まで
鎌倉らしさを生かした技が光る
プロフィール:2級建築施工管理技士、二級建築士、建築物石綿含有建材調査者。建築の職業技術校修了後、昼は工務店、夜は大学の建築工学科で大工工事の技術の習得や実践を重ねた。
■自分のつくったものがまちに残るのが醍醐味(だいごみ)
大工工事など、鎌倉で代々続く工務店を引き継ぐ井上さん。銭洗弁財天などの寺社から一般住宅の施工・補修、古民家再生まで、大工としてはもちろん、営業・現場監督・設計まで一手に担っています。
中でも、井上さんが建築施工を手掛けた住宅兼旅館は、優れたデザインに贈られる「グッドデザインアワード」でグッドデザイン賞を受賞。「検討を重ねた現場なので、本当にうれしいです」。組木などの伝統技法を生かした客間は鎌倉のまちの雰囲気ともなじみ、洗練された技が光ります。
「今は”プレカット”といって、工場であらかじめ加工された木材を使うのが主流なので、昔ながらの職人が減り、鉋(かんな)が使えない人もいます。でも、細かい加工技術はこれからも必要」と、時間さえあれば若手大工の育成にも力を注いでいます。
素材・知識・経験を生かしながら、何もないところからものをつくり上げる──そんな井上さんの技と実直さが鎌倉のまち並みを支えています。
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