■がん検診・質問箱~胃がん検診には内視鏡検査をお勧めします~
福井勝山総合病院
健康管理センター長 土山智邦
74才の方から、「毎年、病院でドック検診を受けてきました。次年度からは、後期高齢者になるので住民集団検診を受けようと思っています。胃の検診は2年に1回になりますが、それでよいのでしょうか?」と質問を受けました。
その方には、「ピロリ菌検査が陰性で家族に胃がんの方がいなければ、胃がん検診は2年に1回でよいです。内視鏡検査を受けることが生理的に可能であれば、胃X線検査(バリウム胃透視)は省いてもかまいません。というのも、高齢者ではバリウムが原因で便秘が悪化するケースがあるからです」と説明しました。
◇胃がん検診は2年に1回です
胃にピロリ菌のいなかった方は、胃がんの発症リスクが低いので、胃がん検診は2年に1回で良いとされています。しかし、ピロリ関連の慢性胃炎や除菌治療をしたことのある方は、毎年の検査が推奨となっています。
◇胃がん検診には、胃X線検査と内視鏡検査があります
胃X線検査(バリウム透視)は住民検診と同日に受けることができて便利です。内視鏡検査(胃カメラ)を希望する方は、市町村が発行する受診票を利用して最寄りの登録医療機関で内視鏡検査を受けることが可能です。
◇慢性萎縮性胃炎の方には、内視鏡検査をお勧めします
胃X線検査で慢性胃炎とされている方は、ピロリ菌感染の可能性もありますので内視鏡検査による確認をしてください。また、家族に胃がんにかかった方がいる場合も、ピロリ菌感染の有無を確認するために内視鏡検査を受けるとよいでしょう。そして、既にピロリ菌の除菌治療を受けている方は内視鏡検査による経過観察となります。ピロリ菌感染は胃がんのハイリスク因子の1つです。胃がんで生じる胃粘膜の色調変化や異常な模様を直視下に観察できる内視鏡検査が早期発見に適しています。
胃内視鏡検査の手続きは面倒だし、そもそも辛い検査で気が進まないという方は多いです。しかし、上記の理由を踏まえると、胃がん検診には内視鏡検査をお勧めします。
◇胃がん検診(付記)
内視鏡検査またはX線検査
対象年齢:50才以上
検診間隔:2年に1回
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