■国史跡 白山平泉寺
717(養老元)年、泰澄によって開かれたと言われている白山平泉寺。1300年以上の歴史を誇り、最盛期の戦国時代には8000人もの僧兵がいたと伝えられています。
白山平泉寺の中心部分は現在「苔宮」とも呼ばれ、境内一面が美しい苔に覆われる平泉寺白山神社。今年33年に一度の御開帳の年を迎えるこの機会に、あらためて国史跡白山平泉寺の魅力にせまります。
◆三十三年御開帳とは
「御開帳」とは、ふだんは扉を閉めて見えないようにしている神仏などを広く一般に公開する行事のことです。
江戸時代に、観音信仰を中心に全国的に流行した「御開帳」。大きな特徴は、神仏とつながる宗教的側面(成仏など)と寺社の経済的側面です。しかし、社寺の経済的な側面が大きくなるにつれ、全国各地で実施件数が増加しました。
そのため1720(享保5)年、江戸幕府が33年に一度とするよう制限しました。なお33年という間隔は「観音経」のなかに見られる観音の三十三変化身を転用したといわれています。
◆平泉寺の御開帳
今年行われる平泉寺白山神社の御開帳は、1992(平成4)年以来で、白山大神(越前では伊弉冉尊(いざなみのみこと))が祀られる本社をはじめ、越南知社・別山社・三宮・開山社の扉が33年ぶりに開けられ、それぞれの神像を拝見することができます。
平泉寺の御開帳は、いつからはじまったかが分かっていませんが、記録では左記のとおり開帳があったとされています。
1710(宝永7)年
※最も古い開帳の記録
1828(文政11)年
1860(万延元)年
1894(明治27)年
1926(大正15)年
1959(昭和34)年
1992(平成4)年
前回は、白山国立公園昇格30周年記念式典とあわせて開催され、14万8千人が訪れました。
◆白山平泉寺のココが魅力!
▽境内を覆う 美しい苔!
境内一面を覆う美しい苔。杉林の中に鮮やかな緑に輝く苔が広がり、荘厳で神秘的な雰囲気を醸し出しています。この美しい風景は地元の人がボランティアで清掃しているからこそ。年2回の一斉清掃に加え、ほぼ毎日交代で清掃しています。木々を抜けて差し込む光が照らす緑の絨毯は、訪れる多くの人を惹きつけます。
▽1300年の歴史ロマン
泰澄によって開かれてから1300年以上の歴史を誇る平泉寺。平成元(1989)年から発掘調査が始まり、これまでの調査で多数の坊院跡や石畳道などが見つかっています。昨年12年ぶりに発掘調査を行い坊院の石垣や出入り口跡などを発見しました。史跡全体の規模は200haですが、調査が終わったのは2ha。平泉寺の全容が明らかになるのが待ち遠しく感じます。
▽白山平泉寺の魅力を伝える まほろば
白山平泉寺の総合案内施設「白山平泉寺歴史探遊館まほろば」。発掘調査で出土した数10万点の遺物の中から、よりすぐりの約230点を展示しています。また、パネルと映像などによって、平泉寺の歴史について解説しています。毎年企画展も実施。昨年の企画展では京都にある同志社大学歴史資料館と共催し、多くの方が訪れました。
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