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丸岡城の精緻(せいち)な城下町絵図(じょうかまちえず)を新たに発見して

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福井県坂井市

江戸時代の城下町絵図は味わいがあり、人気もあり、現代の刊行物や歴史博物館の展示にも使用されることが多い。江戸の地図には御城(おしろ)(天守・二の丸・内堀)のみを描いた城しろ絵え図ずと城下町全体を描いた城下町絵図の二種類がある。
江戸時代の有力大名は兵学(軍事学)のために全国の城絵図を収集した。加賀藩、岡山藩、広島藩が収集した城絵図は現在、地元の公共図書館で公開されている。
江戸幕府は正保元年(しょうほうがんねん)(1644年)、全国の大名に城下町図の作成と提出を命じた。この131城の正保城絵図は幕府の軍事機密資料であり、戊辰(ぼしん)戦争で江戸城に入った官軍が接収(せっしゅう)して北越奥羽(ほくえつおうう)戦争で使用した。現存する63城は国立公文書館が公開しており、1986年に重要文化財に指定され、丸岡城も含まれる。
本年3月に坂井市教育委員会が古書籍商から購入した丸岡城下町絵図の発見者は私である。この地図は正保図(しょうほうず)よりも精緻(せいち)である。道幅、水路の幅と深さが記載され、侍屋敷と町屋の形も現代図にかなり近い。丸岡藩本多家が城下町全体の維持管理と防備(侍屋敷と町屋の管理、道路・水路の管理、城門の警備など)のために作成した地図である。
私は「丸岡城周辺整備基本計画」の委員長を務めたが、計画書の中に委員長の編集解説で城下町絵図集を掲載することになった。そのため全国の公共図書館と古書店を探索した。群馬県の収集家古書籍商の膨大で目録未掲載の所蔵品から、図名も志州鳥羽(ししゅうとば)であったが、発見して撮影した。重要な地図であるため「丸岡城周辺整備基本計画」の表紙に使用し、計画書の中でも詳しく解説した。
この新発見の丸岡城下町絵図は来年完成する丸岡城観光情報センターで複製が展示されて大評判になると予想する。また、小中学校で郷土史を学ぶときにも活用され、地元まちづくり活動に役立つと期待する。

・丸岡城周辺整備基本計画(2021年8月)計画書は、全80頁。65~80頁は、越澤明(こしざわあきら)氏編集執筆の城下町絵図集である。

・新発見の丸岡城下町絵図から本丸・大手門の付近
御屋敷会所(おやしきかいしょ)の存在は新発見で、米塩など重要物資納入、勘定方武士(かんじょうがたぶし)の仕事場と推測、藩の経済部門である(金沢城では御算用場(ごさんようば)と呼ぶ、映画「武士の家計簿」)。水路の細かい屈曲もわかる。
※詳細は本紙をご覧ください。

◆寄稿者
越澤 明(こしざわ あきら)
北海道大学 名誉教授
丸岡城周辺整備基本計画策定委員長を務め、計画を策定。現在は、坂井市歴史まちづくり推進協議会長を務める。
また、愛知県犬山市と岐阜県美濃市の歴史まちづくり協議会長も務めている。

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