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さかい風土記146 「荒井(あらい)」という地名

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福井県坂井市

■くらしに関わる川の水
坂井市には、「荒井」と付く地区が2カ所あります。坂井町東荒井と三国町下野荒井です。これらの地区は、どちらも川沿いにあり、昔は自然堤防上に集落があったという共通点をもっています。荒井という地名は地域によってさまざまな由来があります。その一つに、川から水を引き入れるなどして水を確保し、そこを中心に新しい集落を形成する「新井」を意味するというものがあります。東荒井と下野荒井はこれに由来すると考えられます。
坂井町東荒井は、江戸期までは兵庫川筋の川の端にあることから川端村(かわばたむら)と呼ばれており、西岸に所在していました。その後、水害を避けるために現在の兵庫川東岸の位置に移動し、荒井村に改名したといわれています。なお、明治17(1884)年に、同じ坂井郡に属していた荒井村(現在の福井市西荒井町)と区別するため、東荒井村と改称されました。
三国町下野は九頭竜川西部に所在する地域です。現在の下野は、西野中(にしのなか)と横越(よこごし)の間にある集落と、山岸と西野中の間にある集落に分かれており、山岸との間の集落を「下野荒井」と呼びます。明治35(1902)年から実施された洪水を防ぐための九頭竜川の改修工事で、下野が九頭竜川沿岸から離れた際に、下野の枝村(えだむら)(新しい集落を開発したり新設したりしたときの村)が荒井と呼ばれるようになりました。
兵庫川や九頭竜川は、土地や堤防が整備される前は洪水が多く、川沿いの地域は氾濫に悩まされていました。明治から昭和期にかけて川の流れを変える改修工事が行われたことで、現在は大きな災害もなく、坂井平野を中心に豊かな風景が広がっています。川の氾濫を連想させる「荒」と、水により人が集まる様子を連想させる「井」という言葉からなる地名の背景には、川をめぐる歴史が隠れているのかもしれません。

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