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さかい風土記148 物語る地名『姫王(ひめおう)・陣ケ岡(じんがおか)』

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福井県坂井市

■地名にみえる言い伝え
地名にはその土地で昔起こった出来事にまつわるものがあります。例えば、京都府西陣(にしじん)という地名は、応仁(おうにん)・文明(ぶんめい)の乱(らん)の際に、西軍の本陣(ほんじん)をこの土地に布(し)いたことが由来と言われています。今回は西陣のようにその土地で起こった出来事にまつわる地名がつけられたものを紹介します。
春江町姫王には、継体天皇(けいたいてんのう)の母親である振媛命(ふりひめのみこと)の住まいであった「后屋敷(姫屋敷)」があったと伝えられる場所があります。この地域は振媛命が晩年を過ごした「振媛終焉の地」と言われ、現在は石碑が建てられています。継体天皇に関わる伝説は丸岡町や三国町、坂井町にもあり、春江町にも姫王があることから、坂井市が継体天皇と大変深く関わっていたことがわかります。
三国町陣ケ岡は、三国町の北西部に位置する丘陵地で、海辺からは日本海が見えます。そんな場所に位置する陣ケ岡には、はるか昔、異国の侵入を防ぐため、国内の神々が陣を布き撃退したという言い伝えがあります。その言い伝えがもとになり、この周辺を陣ケ岡と呼ぶようになったそうです。実際に異国の侵入を撃退したかどうかはわかりませんが、日本海を見渡すことができる陣ケ岡は、昔の人にとって地域やそこに住む人々の命を守るために、重要な土地であったことがうかがえます。
これらの地名の由来は、全て伝説からきているものであり、根拠づける資料は今のところ見つかっておりません。しかし、姫王や陣ケ岡のように、地名とともにそこにまつわる伝説が現代でも言い伝えられているということは、昔の人々が忘れないように語り継いでいった結果なのかもしれません。文字や記録のない昔の出来事を、地名は伝えてくれているのでしょう。

◇お詫び
さかい風土記147号第一段落二行目に誤りがありましたので訂正いたします。
(誤)「太郎丸エンゼルランド駅」
(正)「西春江ハートピア駅」

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