若者が実際に住みながら運営する拠点が坂井町と三国町にあります。
何を求めてつくったのか、拠点を運営する2人に取材しました。
そこには、人生をちょっと楽しくするヒントがあるかも。
気になる人は、一度、訪れてみてはいかがでしょうか。
◆ここでの暮らしが、出会わせてくれる。
◇お裾分けすることで、ゆるくつながる。
マツやサクラ、ツツジなどの緑が家を優しく包み、心地よい静けさをもたらしてくれます。緑の合間に敷かれた石畳を進むと、庭の木と同じぐらい年月を重ねた風格のある民家が待ち構えています。
中に入り、縁側を進むと、地区の集まりや法事が行われていた大きい和室が広がっています。ここは坂井町河和田にあるシェアハウス兼イベントスペース「暮らしの学び舎KURASO」。
越前市から移住してきた運営者の田川裕大(たがわゆうた)さん(23)は、「違う属性の人たちがゆるやかにつながれる、公民館的な場所があったらいいなというのが最初の発想」で、アパートではなく大きな空き家を借りました。実際に住んで地域に触れることがつながりを生むと考え、2階をシェアハウス、1階の和室を地域との交流の場として改修しました。KURASOは現在、田川さんをお裾分けすることで、ゆるくつながる。含む2人の若者が生活し、地域の人々と交流しています。ここでは、60人近くの県内外の学生や地域の人々が集まり食事会が行われたり、学生が時間を見つけて、週2日ほどKURASOで暮らしたりもしています。
学生の人間関係が希薄化している課題を解決するために、お裾分け的な地域づくりが重要と考えている時に「熊本震災を機に、自宅の浴室を改修し、公衆浴場として地域に開いたという話を聞いてこれだと思いました」。ご近所付き合いやお裾分けの精神を実感し、人の温かさや暮らしの豊かさに触れてほしいと願い、家の一部を開放し、地域に溶け込みつながりを深めることを目指しています。
暮らしの学び舎 KURASO(クラソ)
〒919-0505 坂井町河和田17-3
◆あなたの『やりたい』を、一緒に叶えます。
◇困り事を楽しいことに変える拠点。
三国町神明にある思案橋を渡り、北西に進むと、趣のある建物が点在しています。その一角に佇むのが「茶ノ下(ちゃのもと)」と白地に青い字で書かれた看板を掲げる建物。湊町の独特な空気をまとい、どこか懐かしさと温かみを感じさせる玄関が出迎えてくれます。
玄関を開けると、そこには20足近くの靴が建物の方へ並び、「素足OK 心も裸足でいきましょう」と手書きの看板が。ここは、空き家になっていた築100年の「茶本旅館(ちゃもとりょかん)」を改修した「茶ノ下旅館」で、シェアハウス兼ゲストハウス兼レンタルスペースとなっています。この日は七夕も近いことから「七夕会」と題して手巻き寿司パーティーが開かれていました。大学生やカフェ店員、ライター、コントをする3人組ユニットなど、さまざまな背景を持つ人々が集い、和やかに寿司を巻いていました。ここを運営する兵庫県出身で建築家の髙橋駿介(たかはししゅんすけ)さん(27)は「場所を作るだけじゃなく、『関わりしろ』のある空間を運用してみたい」と話します。その思いの通り、とりとめのない会話をする人もいれば、仕事の依頼をする人もいます。別の日には、デッサン教室や料理教室が開かれ、期間限定でカフェが出店されるなど、その利用方法は多岐にわたります。
「コンテンツが豊かで楽しいまち、挑戦のハードルが低いまちが理想です。まちの人がやりたいことを言ってきてくれたらとても嬉しい。困り事を楽しいことに変える拠点にしていきたい」。髙橋さんは、茶ノ下旅館を起点にまちを盛り上げようと考え、茶ノ下旅館を好きに活用してくれる人を求めています。
茶ノ下旅館(ちゃのもとりょかん)
〒913-0047 三国町神明3-7-10
問合せ:企画政策課
【電話】50-3013
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